子どもたちにとって夏休みは旅行や遊びといった楽しみもあるが、終盤に重くのしかかるのが宿題や自由研究。2023年は生成AIの普及が一気に加速した。その影響で、夏休みの学びにも変化が出てきている。
教育サービスを手掛けるベネッセコーポレーションが小学生向けに9月11日までの期間限定でサービスを開始した「自由研究お助けAI」。生成AIを利用し、夏休みの自由研究のテーマや進め方についてアドバイスをしてくれる。
夏休みを有効活用したい子どもにとってはとても心強い味方だが、何でも答えてくれるAIに答えを求める懸念もある。そのため、「保護者と一緒に使う」「自分で考えるための参考にする」などのルールが使用前に提示される。さらに、計算の答えや読書感想文の作成はできない仕組みになっている。
「答えを直接言わずにポイントやコツを教えてくれる。今後も活躍してくれたらいいなと思いました」(体験した小学6年生)
生成AIについては、文部科学省が学校現場でのガイドラインを全国の教育委員会に通知。長期休業中の課題などで、生成AIが作ったものを成果として提出することは「適切でない」として、十分に指導するよう促している。
「考える力が育たない」などの理由で、生成AIの利用を制限する教育現場の動きもある中、小学生向けにサービスを提供する狙いについて、ベネッセホールディングスDXコンサルティング部の水上宙士部長は次のように話している。
「子どもたちも将来AI技術を使いながら仕事をしていったり、勉強もそういう形になるかもしれない。子どもたちにとっても、未来になくてはならないものになってくるのではないか。テクノロジーの進歩も早いので早いタイミングから慣れていくことが、重要と捉えている」
学校での生成AIの活用について、『ABEMAヒルズ』は名古屋大学教授で教育社会学者の内田良氏に話を聞いた。
━━生成AIを学習に使うことをどう考える?
これまでの学校教育は大人が知っている物事を子どもに伝えていくような「一方向」だったが、新しい技術についてはむしろ子どもの方がよく知っている。大人も子どもも同じ目線で対等に学んでいくことが必要だ。だが今、大人が新しい技術に怯えてしまっていて、活用に抑制的になっている。リスクも含めて向き合い、子どもと使い方の合意を取った上で活用することが大事。
━━学校教育に生成AIを活用することは可能だろうか?
今は学校の先生が忙しすぎて、子どもよりもさらに先に進んで学ぶ余裕がない。生成AIの専門家が学校教育にどう介入していくのかも一緒に議論する必要がある。新しいテクノロジーを学校でどう教えていくか、新しい人材が必要だ。
(『ABEMAヒルズ』より)
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