史上最強の後輩への意識は、いつでも忘れることはない。将棋界の早指し団体戦「ABEMAトーナメント2023」本戦トーナメント2回戦・第2試合、チーム永瀬とチーム糸谷の対戦が8月19日に放送された。永瀬拓矢王座(30)は、個人3連勝を果たして、チームのベスト4進出に大きく貢献。自身2度目の優勝に向けて前進した。初優勝を果たした時、今回もチームメイトである増田康宏七段(25)もいたが、絶対的なエースとして存在していたのが将棋界の頂点に君臨する藤井聡太竜王・名人(王位、叡王、王将、棋王、棋聖、21)。中学生のころから練習将棋を繰り返してきた後輩は、今や天下の七冠王。さらには王座戦五番勝負で直接対決するとはっては、これまで以上に意識せざるを得ない存在だ。
2人のつながりは、藤井竜王・名人が最年少でプロ入りして間もないころから。ABEMAのオリジナル対局企画「炎の七番勝負」で対戦し、当時の藤井四段は6勝1敗と大活躍し、周囲の度肝を抜いたが、この時に唯一の黒星をつけていたのが永瀬六段(当時)だ。この対局の影響もあってか、2人は練習将棋を繰り返す仲となり、藤井竜王・名人は次々と最年少記録を樹立し、ついには7つのタイトルを持つまでになった。また永瀬王座も叡王1期、さらに保持している王座は4期連続と、タイトル通算5期の名棋士になった。両者は王座戦五番勝負で直接対決することになり、永瀬王座が防衛すれば5期連続の条件で「名誉王座」の称号資格を取得、藤井竜王・名人が奪取すれば、史上初の八冠独占が果たされる。
ABEMAトーナメントではチームメイト、またはライバルチームとしてしのぎを削ってきたが、前回大会ではチーム藤井がまさかの予選敗退。永瀬王座も「去年が予選敗退ということでとても驚いて、藤井竜王・名人をもってしても、無双できないのかなと思った」と語ったが、今大会は藤井竜王・名人自ら予選全勝の強さで本戦出場。「やはり強い藤井竜王・名人のチームが帰ってきたなという感じ」と我が事のように喜んだ。
「常に気にしているのは藤井聡太竜王・名人のチーム」と、胸中を隠さない永瀬王座。公式戦でも大一番を控えるが、この団体戦でもチーム同士で対戦するのが願いだ。うれしそうに話す永瀬王座の様子に、ファンからも「聡太だいすきっこ」「そうたんLOVE」「聡太好きやな」「常に藤井LOVE」「藤井愛しかない」というコメントが寄せられていた。
◆ABEMAトーナメント2023 第1、2回が個人戦、第3回から団体戦になり、今回が6回目の開催。ドラフト会議にリーダー棋士14人が参加し、2人ずつを指名、3人1組のチームを作る。残り1チームは指名漏れした棋士が3つに分かれたトーナメントを実施し、勝ち抜いた3人が「エントリーチーム」として参加、全15チームで行われる。予選リーグは3チームずつ5リーグに分かれ、上位2チームが本戦トーナメントに進出する。試合は全て5本先取の9本勝負で行われ、対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。優勝賞金は1000万円。
(ABEMA/将棋チャンネルより)