将棋の伊藤園お〜いお茶杯王位戦七番勝負第5局が8月22・23日の両日、徳島県徳島市の「渭水苑」で指され、藤井聡太王位(竜王、名人、叡王、棋王、王将、棋聖、21)が佐々木大地七段(28)に勝利し、シリーズ成績4勝1敗で4連覇を果たした。終局後には記者会見に応じ「防衛出来たことは素直に嬉しく思いますし、とても勉強になることが多かったシリーズだった」と防衛の喜びを語った。質疑応答の主な内容は以下の通り。
――佐々木七段との“十二番勝負”が終了。戦い終えて佐々木七段の印象は?
佐々木七段とは棋聖戦と合わせて6月から9局対局して、序盤の良さというのはもちろんなんですけど、それ以上に中盤の強さを感じたところが多かったかなと思っています。中盤から手厚く指されて、こちらが苦しくしてしまうという将棋が多かったので、そのあたりの力をすごく感じましたし、自分も見習うところが多いのかなと思いました。
――いろいろな戦型が出たシリーズだった
第1局は序盤から全く経験のない形になりましたが、駒組みの仕方がまずくそこで形勢を損ねてしまったので、駒組みのセンスや感覚というのを付けていかないといけないなと感じた将棋でした。本局も同じく横歩取りから力戦調になり、そこでどういう構想・方針を立てるのかがわからなかったので、その辺りの自分の課題を感じましたし、今後改善していかなければいけないなと思っています。
第2局と第4局は相掛かりでしたが、佐々木七段は先手では相掛かりを特に得意にされていて、特に第4局では非常に上手く指されてしまったなと思っています。
――全国各地を転戦。印象に残っていることは?
今期も地元の愛知県から始まって全国各地を回りましたが、それぞれどこも素晴らしい対局場で、気持ち良く対局することができたと思っています。また、第4局の嬉野と第5局の徳島は、これまでは現地まで車での移動が多かったですが、今回はどちらも鉄道で現地入りすることができて楽しかったですし、良い思い出になりました。
――徳島対局では3年連続で勝利
私自身は3回目になりますが、対局を長年開催していただいて来る度に大盤解説会などでファンの方の熱気を感じています。今年は前夜祭も開催していただいて、挨拶の時から温かい反応をいただいて励みになりましたし、すごく良い環境の中でで対局をすることが出来たと思っています。
――今回電車移動を選んだ理由
これまでもいつか鉄道で訪れたいなと考えていましたが、今年実現したので楽しみにしていましたし、実際に途中の景色や車両なども含めて楽しんで来ることができました。徳島県は今回乗ってきた高徳線以外にも徳島線や牟岐線など他の路線もありますし、いつかそちらにも足を延ばすことができたらと思っています。
――徳島県でやってみたいこと、行ってみたいところは?
まずは鉄道に乗ってみたいというのはひとつあるんですけど、家族旅行で10年ほど前に祖谷の方に訪れて良いところだなと思った記憶があるので、そちらもまた機会があれば行ってみたいと思っています。
――王位防衛した感想
今期の王位戦は佐々木七段の力を感じる場面が多く、スコア以上にとても大変なシリーズだったと感じています。その中で何とか防衛出来たことは素直に嬉しく思いますし、とても勉強になることが多かったシリーズだったと思うので、王座戦をはじめ今後の対局に活かせるように取り組んでいけたらと思っています。
――「足りないところ」とは?
自分の経験が少ない展開になった時に方針が定まらなかったり、少し良くない構想で指し進めてしまうことがあったので、その辺りは大きな課題なのかなと思いますし、そういった力を少しずつしっかり付けていく必要があるなと感じたシリーズでした。
――前人未踏の“八冠”挑戦への思い
永瀬王座の強さというのはよく知っていますし、王座戦も大変な厳しいシリーズになると思っています。まずは序盤の作戦面で遅れをとらないように立ち回って、中終盤の難しい考えがいのある将棋にできればなと思っています。
――来期防衛すると永世王位を獲得
永世称号というのはこれまで意識することなかったですが、あと1期でということで貴重な機会なのかなと思っています。来年の防衛戦までに少しでも実力を高めて臨めるように取り組んでいきたいと思います。
――31日に開幕する王座戦五番勝負への意気込み
最近の対局は内容としてはどれも課題が多いなと思っていますが、王座戦も開幕まで一週間しかないので、集中して準備して出来る限り良い状態で臨めればなと思っています。
今度は挑戦者としての戦いになるので、ぶつかって行く気持ちでやっていきたいなと思っています。
(ABEMA/将棋チャンネルより)