将棋の永世称号のひとつ「名誉王座」獲得を目指す永瀬拓矢王座(30)に、若き絶対王者・藤井聡太竜王・名人(王位、叡王、棋王、王将、棋聖、21)が前人未踏の「八冠制覇」をかけて挑戦する第71期王座戦五番勝負が、8月31日に開幕する。将棋を飛び出し大きな社会現象となることが予想されている今期の五番勝負は、藤井竜王・名人がデビュー以来研究パートナーで全幅の信頼を寄せる永瀬王座と激突するシリーズに。将棋大好き芸人として知られるサバンナの高橋茂雄も「スポーツの世界や、自分たちの世界の“先輩後輩”の関係ではない、全く新しい物語が始まる」と興奮が止まらない。将棋に関する著書もある高橋に、注目ポイントを聞いた。
【映像】永瀬王座VS藤井竜王・名人の注目ポイントを語るサバンナ高橋
高橋は、永瀬王座VS藤井竜王・名人の研究パートナー同士の激突を「歴史的な対局になると思って注目しています」と目を輝かせる。対局者の縁は、藤井竜王・名人が最年少でプロ入りして間もない頃から始まっている。両者はABEMAのオリジナル対局企画「炎の七番勝負」で対戦。当時の藤井四段は6勝1敗と大活躍し周囲の度肝を抜いたが、この時に唯一の黒星を付けたのが永瀬六段(当時)だ。この対局での出会いから練習将棋を繰り返す仲となり、コロナ禍を経て現在も研究会は継続されている。
“切磋琢磨”の言葉の通り、互いの良いところや持ち味を吸収しあうことで藤井竜王・名人は次々と最年少記録を樹立し、ついには7つのタイトルを持つまでになった。また永瀬王座も叡王1期、さらに保持している王座は4期連続と、タイトル通算5期の名棋士に。両者は王座戦五番勝負で直接対決することになり、永瀬王座が防衛すれば5期連続の条件で「名誉王座」の称号資格を取得、藤井竜王・名人が奪取すれば、史上初の「八冠独占」が果たされる。
高橋が両者の練習対局が続いていることを知ったのは、藤井竜王・名人が王座初挑戦を決めた決勝戦の後に行われた記者会見中継だという。
高橋茂雄(以下、高橋) 「記者の方が、永瀬王座との研究会は今もやっているんですか?って聞いたんです。そしたら藤井竜王・名人は『変わらず教えてもらっています』と答えられていて、まだやってはんねんな!ってビックリしたんです。もう止めていると思っていたので。王座戦が近づいてきて一旦中断しているとのことでしたが、2人の研究会の関係が続いているのがすごいことだと思います」
研究会の始まりは「炎の七番勝負」での対局後、永瀬王座が藤井竜王・名人にメールを送ったことからスタート。会見では、「永瀬王座には私が四段の頃から将棋を教えて頂いていて、自分を引き上げて頂いた方だと思っている」と語ったことも大きな話題となった。
高橋 「永瀬王座は“軍曹”と呼ばれていて、年間5000時間勉強してるというのはよく聞かれますよね。そんな永瀬先生が一番尊敬しているのは藤井先生。じゃあ藤井竜王・名人はどれだけ勉強してるんだろう…。すごく興味ありますよね。年が上だとか下だとかは関係なく、永瀬先生は教えてあげているというより、教わっているという感覚を持たれていると思います。後輩や先輩の間柄ではないんだと思います」
“名誉王座”か、“八冠制覇”か――。大きな表題に目が行きがちだが、高橋は対局の内容はもちろんのこと「両者の性格をよく知ってから見た方が面白いと思います!」と強調する。
高橋 「ニュース番組などでは藤井竜王・名人が取り上げられることが多いと思いますが、皆さんにはぜひ永瀬王座の“研究”をしてから(五番勝負を)見て頂きたいですね!5000時間勉強される、週刊少年ジャンプをこよなく愛される、正月元旦も関係なく研究会を行う…。そんな永瀬王座と藤井竜王・名人の戦いがどうなるのか注目ですね。あとは感想戦です。そこは普段の研究会の様子が見られるのではないでしょうか?」
さらに、この五番勝負は「僕らが見てきたスポーツの世界や、自分たちの世界の“先輩後輩”の関係ではない、全く新しい物語」になると熱弁。将棋界を飛び出し、社会的に大きな注目を集めることになるシリーズでは、どんな世界が描かれることになるのか。誰もが心弾まずにはいられない。
(ABEMA/将棋チャンネルより)