もし、あなたが仕事や遊びで「夜の都心」にいる時、大きな地震が起きたら…。あなたは「NG行動」「情報収集方法」「避難場所」を把握した上で迅速に行動できるだろうか?
10万人以上が犠牲となった関東大震災からまもなく100年。『ABEMA Prime』では渋谷区の副区長、防災担当者と共に「災害への備え」と「命を守る行動」を考えた。
南関東地域でM7クラスの地震が発生する確率は30年間で約70%。この規模の地震が起こると渋谷区では23万7837人の帰宅困難者が出る(冬・18時の場合)。特に夜間の渋谷では酒に酔った人が溢れ、古い建物や通路・階段が狭い箇所もあるため大きな混乱が予測される。
地震が起きた際、運行情報を確認するために駅に足が向いてしまうものだが、渋谷区副区長の杉浦小枝氏は「駅に向かうのは危険だ。渋谷の場合、スクランブル交差点などでパニックが起こる」と警鐘を鳴らす。さらに、渋谷区の危機管理対策監を務める斎藤兼一氏も「留まる場所がある方は、その場所に留まることが原則だ」と説明する。
「災害発生時にオフィスにいた方は自分のオフィスに、学校にいた方は学校に留まる。旅行者・食事や遊びに来ている人は帰宅困難者受入施設に状況を見ながら移動してほしい」
渋谷区の帰宅困難者受入施設には、渋谷ヒカリエ、表参道ヒルズ、東武ホテル、 アベマタワーズ、渋谷エクセルホテル東急、日本基督教団東京山手協会など の54カ所があるという。加えて、自宅が危険な状態である区民は避難所に向かう。
さらに斎藤氏は「群衆雪崩が起きるので、一斉に帰らないでほしい」と注意喚起する。
「状況次第だが、朝までは安全な場所で過ごし、翌朝明るくなってから移動した方が安全だ。加えて、帰宅困難者受入施設なども空いてくるので、飲食店などにいた方はそちらに移り、安全に帰れる状況になるまで待つべきだ」
災害時に情報が集約されるサイトはあるのだろうか。杉浦氏は「渋谷区には『渋谷区防災アプリ』があり、帰宅困難者受入施設の開設状況などがマップ上で分かる。しかし現状、自治体をまたぐと情報が共有できないため、少なくとも東京なら23区で共通のアプリを作るべきだ」と考えを示した。
また、渋谷区では、災害時の外国人支援として「通訳などボランティアへの協力要請」「外国語パンフレットの作成・配布」「外国人対象の防災訓練などの実施、外国語対応ホームページなどの整備」を行なっているという。
さらに、9月2・3日には、民間団体と一緒に「TOKYOもしもFES渋谷」というイベントも開催。杉浦氏は「イベントを通じて『もしもの時に自分でなんとかできる人』を一人でも増やしたい。地元の商店街の方々とも一緒になってイベントに取り組むことで防災意識を高めると共に周知にも繋げたい」と想いを語る。イベント会場には災害発生直後の状況を疑似体験できる「サバイバルエリア」、災害に備えるキャンプグッズなどを紹介する「アウトドアエリア」、さらには消防・自衛隊車両を展示、自衛隊の炊き出しカレーの提供(2日のみ)もあるという。
渋谷区民で近畿大学情報学研究所所長の夏野剛氏は「大都会の災害対策は難しいが、常日頃からの情報発信が重要だ。渋谷区はマメなので安心感がある。他の自治体も参考にするべき点があるはずだ」と述べた。
(『ABEMA Prime』より)
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