9月10日(日)神奈川・横浜アリーナで開催される「ReBOOT~K-1 ReBIRTH~」。今大会ではK-1スーパー・バンタム級(-55kg)タイトルマッチとして王者・金子晃大vs挑戦者・玖村将史が行われる。

【視聴する】「金子vs玖村」ついに決着!「ReBOOT~K-1 ReBIRTH~」

 K-1にとって2023年は大きな節目の1年となった。7月17日の両国国技館大会をもって中村拓己プロデューサーが退任を発表。翌18日にカルロス菊田氏が新プロデューサーに就任し、海外進出や極真会館との提携、重量級の「WORLD GP」シリーズ・中量級以下の「WORLD MAX」シリーズの復活を含むK-1の新体制が発表された。

 その第一歩となる横浜アリーナ大会のサブタイトルは“再生”を意味する“ReBIRTH”。大会の軸には「K-1 30周年記念無差別級トーナメント」と銘打たれた外国人8選手によるワンデートーナメントが据えられ、かつてのK-1を思い起こさせる大会となった。

 そのなかで組まれた唯一のタイトルマッチが金子と玖村の一戦だ。金子と玖村の通算戦績は1勝1敗。2020年3月の初対決では玖村が勝利し、2022年2月の第3代K-1スーパー・バンタム級王座決定トーナメント決勝では金子が勝利を収めている。3度目の決着戦がK-1のベルトをかけたタイトルマッチという形で実現した。

 さらにこの約1年7カ月で、2人の戦いはより意味のあるものになる。2022年6月、武尊vs那須川天心が行われた「THE MATCH 2022」に金子と玖村は揃って出場。RISE-55kgの2強=鈴木真彦・志朗と交わることになり、金子が鈴木に判定負けを喫したが、玖村は志朗からダウンを奪っての判定勝利を収めた。

 K-1×RISE-55kgトップ対決に勝利した玖村は、今年3月「K'FESTA.6」でのK-1×RISE対抗戦の大将戦にも選ばれ、志朗に続いて鈴木も撃破。RISE-55kgの2トップを倒し「55kgはK-1が一番」を自らの拳で証明した。玖村がRISEとの対抗戦で勝利する一方、金子はvs外国人選手を相手に結果を残す。玖村がRISE・鈴木を下した「K'FESTA.6」で、玖村に勝利している“ムエタイの天才”コンペット・シットサラワットスアの挑戦を退けて、スーパー・バンタム級王座を死守した。

 玖村はRISEとの対抗戦で勝利し、金子は海外の強豪を倒し、それぞれファイターとしての価値を高めた。この試合のキャッチコピー「王者と、最強が決まる」の通り、金子と玖村、どちらが強いのか。その決着戦がK-1のベルトをかけた-55kg最強決定戦であることに異論を唱える者はいないだろう。2人は前回の対戦から、ここまでの道のりをこう語る。

「(THE MATCH 2022の敗戦について)あの頃は何も理解できていなくて、ただがむしゃらに戦って勝つだけだったんです。それで鈴木選手に負けたことをきっかけに、トレーニングもガラリと変えて、自分がやっていることを理解して、それを自分の中に落とし込むようになりました。だから鈴木選手に負けたから、コンペットに勝つことができたし、もし鈴木選手に勝っていたら、コンペットには100%勝てなかったでしょう

 玖村選手とは1回目は負けて、2回目は勝ったけど、差があって勝ったわけじゃなくて、本当に勝っただけ。今僕がチャンピオンですけど、僕と玖村選手は同格に見られていると思うし、玖村選手の方が強いと思っている人もいると思う。だから、ここで僕がしっかり勝つことによって、誰が一番の存在か・自分の成長を分かりやすい形で証明できると思います」(金子)

「(RISEとの対抗戦を振り返って)『THE MATCH 2022』で初めてK-1を背負うという気持ちが出てきて、絶対に負けられないと思いました。あの時は自分が大将として出てたわけじゃなくて、あくまでK-1を背負って戦う選手の一人だった。でも3月の試合で自分が大将に選ばれて、そこでK-1を絶対に背負うという自覚を持ちました。今まで(金子・玖村・鈴木・志朗が)じゃんけんのような状況で、僕が志朗選手に勝っても、まだ鈴木選手がいると言われ、鈴木選手に勝っても、チャンピオンの金子選手がいると言われた。でもこの試合で55kgで誰が最強か?という物語を終わらせられると思います。

 金子選手とは1回目は勝って、2回目は負けましたけど、2回目はダウンを取られた以外は自分が勝っていたと思います。ただ、今の状況でどれだけ『俺の方が強い』と言っても言い訳にしかならないし、だからこそもう一回やって勝って俺の方が強いと言いたい。彼からベルトを獲ることに意味があると思うし、彼に勝つことが理想のチャンピオンになる道だと思います」(玖村)

 2014年11月からスタートした通称・新生K-1は、それまで陽の目を見ることがなかった軽量級にスポットライトを当てた。その象徴が初代スーパー・バンタム級王者になった武尊だ。武尊は「軽量級は倒せない」「軽量級では大会場を盛り上げられない」という概念を打ち壊し、軽量級の扉を開き、スターへの道を駆け上がった。

 その武尊の跡を継いだ第2代王者の武居由樹は、武尊同様に軽量級とは思えない攻撃力でKOの山を築き、K-1無敗のままプロボクシングへ転向。プロボクシングでも無敗の快進撃を続け、K-1王者が他競技でも通用する姿を見せ、K-1の競技レベルを引き上げた。

 金子と玖村は武居が返上したベルトを巡るライバルストーリーを築き、「THE MATCH 2022」でRISEとの対抗戦に打って出ることで、武尊・武居が王座戴冠時にできなかった他団体を巻き込む熱を生み、K-1のベルトに新たな価値をつけた。まさに金子vs玖村は新生K-1が培ってきたものすべてが凝縮された試合と言っても過言ではない。そして、この試合がK-1新体制のスタートとなる大会で組まれたということは、ここで新生K-1の歴史にピリオドが打たれることになる。

「この試合は新体制になる前のK-1が『THE MATCH 2022』が終わったあとも継続して作り上げてきたもので、そのおかげで僕もここまで強くなることができました。今までのK-1と新体制のK-1の境目の試合だと思うし、この試合を超えることで自分の見られ方も変わると思う。自分はK-1が新体制になっても、やるべきことをやって一戦一戦積み重ねて強くなっていきます」(金子)

「新生K-1は65kg(スーパー・ライト級)から始まって、一番盛り上げてきたのは55kgだと思います。歴代チャンピオンを見ても一番層が厚い階級だし、55kgのチャンピオンが新生K-1を代表するファイターたちやと思っています。だから最後に僕が金子選手に勝ってチャンピオンになって、しっかり今の時代を終わらせて、新しい時代の顔になりたいと思います」(玖村)

 一つの時代が終わり、新たな時代へと歩み出す。その志を胸に金子と玖村はK-1のベルトをかけた戦いに臨む。新生K-1の最終章、新生K-1を愛したすべての人に見届けて欲しい。

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