対局中に見せたら禁じ手にでもなりそうな、強烈リアクションだ。将棋界の早指し団体戦「ABEMAトーナメント2023」本戦トーナメント準決勝・第1試合、チーム永瀬とチーム天彦の対戦が9月9日に放送された。この第2局でチーム永瀬・本田奎六段（26）とチーム天彦・戸辺誠七段（37）が対戦したが、戸辺七段が繰り出した一手に、チームメイトの三枚堂達也七段（30）が「ひょおぇ～」と聞き慣れない叫びと、変顔レベルの表情でリアクション。思わず目の前にいたリーダー佐藤天彦九段（35）も「リアクション面白いね」と爆笑する一幕があった。
三枚堂七段といえば「桂馬の貴公子」という異名を持ち、桂馬をうまく活用した攻めの将棋が魅力の居飛車党。明るい性格とはきはきとした話し方から好感を持たれるナイスガイで、ファンも多い。チーム天彦では最年少ながらチームにスッと溶け込み、思ったことも遠慮なく発言するムードーメーカーのような役割も果たしていた。
対局でも鋭い指し手を見せていたが、この試合で強烈なインパクトを残したのが、めったに聞けない叫びと変顔だ。チームメイトの戸辺七段が本田六段と熱戦を繰り広げていた中盤戦、△5六香打と5五の地点にある香に、もう1枚の香を重ねる一手を繰り出した。本田陣を5筋から突破しようとパワーを加えた一打が、これには古くから戸辺七段を知る解説の阿久津主税八段（41）も「おー、戸辺流」と喜んでいた。
通称「戸辺攻め」とも呼ばれる強烈な攻めに、誰よりも驚いたのが三枚堂七段だ。打ち込まれた香を見るなり「ひょおぇ～」と、言葉にならない声を発し、さらには口を大きく開けてフリーズ。これをすぐ目の前で見た佐藤九段も、たまらず「あっはっはっは」と笑い出し、続けて「リアクション、おもしろいね」としみじみ語った。
この表情を対局中、相手にいきなり見せれば大笑いされるか激怒されるかというレベルのもの。視聴者からも「なんちゅう顔してるねん」「ムンクの叫びかよ」「ええリアクションすんな」といったコメントが殺到。「桂馬の貴公子」に続く異名がついても不思議ではないほどのインパクトをファンに与えていた。
◆ABEMAトーナメント2023 第1、2回が個人戦、第3回から団体戦になり、今回が6回目の開催。ドラフト会議にリーダー棋士14人が参加し、2人ずつを指名、3人1組のチームを作る。残り1チームは指名漏れした棋士が3つに分かれたトーナメントを実施し、勝ち抜いた3人が「エントリーチーム」として参加、全15チームで行われる。予選リーグは3チームずつ5リーグに分かれ、上位2チームが本戦トーナメントに進出する。試合は全て5本先取の9本勝負で行われ、対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。優勝賞金は1000万円。
（ABEMA／将棋チャンネルより）
