9月9日に福岡PayPayドームで行われた福岡ソフトバンクホークス戦で、あまりに見事な外野守備の“フェイクプレー”で失点を防ぎ、ソフトバンク・柳田悠岐を全力で悔しがらせたかと思えば、9月13日の千葉ロッテマリーンズ戦(ZOZOマリンスタジアム)では、捕手を飛び越えての“アクロバティック生還”でスタンドを沸かせた楽天・辰己涼介。そんな辰己が、このところ改めて他球団のファンの間でも話題となっている。
2018年のドラフトで1位指名され、楽天入りを果たした辰己は、翌春のキャンプから一軍に帯同し、いきなりレギュラーに定着。当初は打撃には課題があったものの、それを補って余りある俊足&攻守ぶりから、ほどなく楽天の絶対的なセンターに。そして“球界屈指の守備力”で好プレーを連発するようになると、昨年、一昨年と2年連続でゴールデングラブ賞を獲得するまでに。実際、今季も前述ソフトバンク戦の“スーパーフェイク”のみならず、たとえば7月7日に楽天モバイルパーク宮城で行われたソフトバンクホークスとの一戦では、WBCでも注目を集めたソフトバンクの韋駄天男・ソフトバンクの周東佑京が、辰己の肩を警戒し、犠牲フライでの本塁生還を断念するという、ひとコマもあった。辰己の強肩と安定した送球は、周東をして、もはや“脅威”として認識されているというわけだ。
こうした好手でしばしば名場面を作り出す辰己だが、打撃面でも着実にステップアップしている感がある。もともと楽天ファンの間では、「1本欲しいときに打ってくれる」という声が聞かれる辰己だが、2019年には4本だった本塁打も2021年には10本、そして昨季は11本と、パンチ力も発揮するようになるなど、着実にその打撃にも磨きがかかっている印象だ。
冒頭で少し触れた9月13日のロッテ戦では、“アクロバティック生還”が大きな話題となったものの、その前の5回、楽天が1点を追う場面で、この日のチーム初安打となる同点弾を放ったのも辰己であった。“守備&走塁の要”であった辰己は、もはや楽天にとって“攻守の要”となりつつあるといっても過言ではないだろう。
こうした辰己が披露する魅力あふれるプレーの数々に、最近では楽天ファンのみならず、他球団のファンからも熱視線が。「最近の辰己はイチローを彷彿とさせるプレーが多いな」「身体能力がバケモンすぎる。走攻守揃ってイチローやんか。」と、“レジェンド”イチローになぞらえる声のほか、「楽天ファンじゃないけど辰己はすごいと思うし、素直に羨ましい。」「5年目で既にパのNo.1センターやん」といった、様々な反響が寄せられている。