「二度と相手の国に入れない可能性も」 半数が離婚する国際結婚の現実、異文化は理解し合える?
【映像】異文化生活の理想と現実
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 「国際結婚」と聞くと、「ヨーロッパの男性は女性を大事にするからいいな」「いつまでも愛情表現たっぷりでうらやましい」など、なんとなくポジティブなイメージを持つ人もいるのではないだろうか。しかし、現実には良い話ばかりではなく、厚生労働省の「2021年度 人口動態調査」によれば、国際結婚の離婚率は51%となっている(国内離婚率は36.3%)。

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■「手続きとか私が全部やっているのに、夫は手伝わず神に感謝する」

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 コノミさん(31)は、語学留学で訪れたフィリピンで、フィリピン人の夫・ダニエルさん(29)と結婚。現在は2歳になる子どもと日本で暮らしている。

 コノミさんに国際結婚の離婚率の高さを伝えてみると、「驚きはしないというのが率直な感想」という答えが返ってきた。「家族ファーストの文化がフィリピンは強くて、どこでもいつでも(彼の家族と)ビデオ通話する。外で私と2人で歩いている時であろうが、私の両親の前でもこちらが止めなければ30分以上とか。あと、すぐ神に感謝する。国際結婚は複雑な手続きが多く、私が全部やっているのに、真っ先に神に感謝する」。

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 その一方で、夫のダニエルさんにも言い分が。「フィリピンでは、たとえ他人であっても誰かが困っていたら助けるのが当たり前。でも、『日本人はそういうことしないからやめて』と言われる。お互いの文化にはプラスもマイナスもある。それを知り、理解し合うことが大事なことだと思う」。

 とはいえ、コノミさんは幸せだといい、「ハプニングを楽しむ。解決しなきゃいけないことがあっても、それを乗り越えたらすべてネタになるので」と語った。

■フィリピン人女性と結婚も「“お前はフィリピン人をなめてるだろう”と」

 わかり合えずに国際離婚した夫婦も。

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 YouTuberのアキラさん(57)は、43歳の時にフィリピン人の女性と結婚したものの、7年で離婚した。「一緒にいれば心は通じ合うものだと。一緒に飯を食って、映画を見てれば十分だと思っていたけど、“カミさんなめすぎだよ”“何も伝わってない”“お前はフィリピン人をなめてるだろう”と」。

 2人の子どもも生まれたが、アキラさんは「家庭を顧みない夫だった」という。「当時は仕事を3、4つかけ持ちでやっていた。“それは家族のためだ”と伝えたが、妻はコミュニケーションがないことが不満・不安だったらしい。結婚も昭和的な感覚で、市役所に行ってサインをしただけで終わりだった。日本でも許されるか許されないかわからないが、家族を大切にするフィリピンではなおさら許されない」と話す。

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 現状、フィリピンに「離婚制度」はなく、裁判を起こす必要があるなどハードルは非常に高いそうだ。「フィリピンは世界でも珍しい厳格なカトリック国。裁判では“この結婚は存在しなかった”というものになる。僕らは在フィリピン日本大使館の領事さんが甘かった時期に離婚した。」と明かした。

■結婚後に表面化する様々な壁 異文化は理解し合える?

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 国際結婚の離婚問題に詳しい弁護士の山上祥吾氏は、壁が生じやすい部分について「言葉は一番大きい潜在的な原因になると思う。ケンカをしていても、一方的にまくし立てられると、ネイティブスピーカーでないと太刀打ちできないのではないか」と説明。

 また、家族同士の付き合いとなる部分でのカルチャーの違いも大きいという。「例えば中国だと、親類で集まると『あんた、収入いくら?』とずけずけと聞いてくる文化があり、日本人からするとウッとなる。また、日本のカップルは片方が仕事をしていたら、もう片方は少し我慢・理解される方がけっこういらっしゃると思う。しかし、外国の方には通用せず、“働いているけど家にもいろ”という考えの方だと、やはりすれ違いが多くなる」と話した。

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 国際離婚の課題として、離婚の裁判を相手の住む国で行う必要がある。山上弁護士は「日本の法律では原則として相手の国の裁判所でやるというルールになっている。例えば、アメリカに配偶者がいて、自分は日本にいる。仲が悪くなって自分は離婚したいけど、相手はしたくないという時、アメリカで裁判しないといけないのが原則だ」と指摘。

 他にも、「日本では、相手が同意してくれれば離婚届けを出して終わる。しかし、相手が同意せずに裁判で決めないといけない時に、法律で決まった離婚の理由がいる。典型的には不倫や暴力などがあるが、“何となく性格が合わない”とか“ちょっとした文化的な差で嫌になっちゃった”だと理由にならない。最低でも3~5年は別居しないといけないという実務になっていて、外国のクライアントからは『日本はなぜそんなに厳しいのか』とよく言われる」「(フィリピンで離婚の手続きをせず、日本で離婚届を出した後に再婚した場合)そういう状況ではフィリピンに行かないほうがいいと思う」「中国の方と離婚するとなった方は、上海の結婚登記所にも夫婦で行かないといけなくて、私が一緒に行ったこともある」と述べた。

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 カンニング竹山は「ハワイにけっこう友だちがいて、国際結婚している夫婦だと思ったらパートナーだったり、籍を入れていないということがあった。言われてみれば“そういうことだったんだ”と気づいた」と納得していた。(『ABEMA Prime』より)

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