大事な初戦、切り込むならこの男しかいない。プロ麻雀リーグ「大和証券Mリーグ2023-24」9月18日の第1試合で昨期王者の渋谷ABEMAS・松本吉弘（協会）が倍満条件を見事にクリア、劇的な逆転勝利を収めた。
この試合は東家からTEAM雷電・瀬戸熊直樹（連盟）、EX風林火山・勝又健志（連盟）、松本、BEAST Japanext・猿川真寿（連盟）の並びで開始。松本は開局早々にリーチをかけるも流局、その後は失点が続き、先行する瀬戸熊、猿川を追う展開。今期初アガリは東4局1本場、猿川から2000点（＋300点、供託1000点）をアガり、じわりと差を詰める。
南場も展開は苦しい。南1局1本場に猿川の跳満が飛び出すと、トップ争いは瀬戸熊、猿川の両者に絞られたようにも見えた。しかし昨期の王者は粘り強い。南4局、配牌で赤が2枚あるチャンス手。ドラの六万を引き、ピンズを伸ばして4巡目にテンパイだ。倍満をツモれば逆転トップ。待ちは亜リャンメンの2・5筒。すでに2筒が1枚捨てられており、見た目は残り5枚。三色同順への変化などさらなる手牌の伸びも考えられる。熟考の末、松本の決断は即リーチ。実況の日吉辰哉（連盟）は「一発ツモなら逆転トップですよ！」と息巻いた。
松本は猿川の猛追を振り切り、12巡目に2筒を力強くツモ。めくった裏ドラ3索が1枚乗り、リーチ・ツモ・タンヤオ・平和・赤2・ドラ・裏ドラの1万6000点。2人抜きの逆転サヨナラ倍満弾が炸裂した。日吉は「逆転トップ！優勝チームの意地！」と声を枯らし、レジェンド解説者の土田浩翔（最高位戦）は「BEASTの猿川に洗礼を浴びせた感じですよね」とそのパフォーマンスに脱帽した。
倍満ツモ条件を満たすオーラスの逆転弾、インタビューでは松本自身も「こんなことあるんですね」。開幕戦の登板はチームにとっての基本方針。松本はこれについて「藤田（晋）前監督の時から『“切り込み隊長”みたいのは松本君のイメージだよね』と言われていて」と明かした。その上で「開幕というのは本当に大事な試合だなと思っている。チームの今年を占うという意味合いも大きいので、トップは嬉しい」と喜んだ。
前年度優勝チームが翌年に不調に陥るというジンクスもあるだけに、内心は不安もあった。「4着を引いちゃうと『やっぱりあのジンクスが…』というようになっちゃうと思ったので『いやいや、そんなことはないんだぞ』という気持ちで臨んだんですけど、東場は本当に何もできずに」と苦笑い。それでも最後のチャンス手をしっかりと決めたことには「恵まれました！」と笑顔。
開幕を待ち望んだファンには「僕らもこの日を待ってました！」と明るく呼びかけて「ここから長いシーズンが始まります。でもあっという間に終わっちゃうので、最後までお見逃しなくご視聴、応援よろしくお願いします！」とメッセージ。これにファンも「まつ！！！おめでと！！」「酒が美味しいありがとうアベマズ」「まつのインタはいつもほんと１００点やな」と反響を寄せていた。
【第1試合結果】
1着 渋谷ABEMAS・松本吉弘（協会）3万6700点／＋56.7
2着 TEAM雷電・瀬戸熊直樹（連盟）3万2700点／＋12.7
3着 BEAST Japanext・猿川真寿（連盟）2万9400点／▲10.6
4着 EX風林火山・勝又健志（連盟）1200点／▲58.8
※連盟＝日本プロ麻雀連盟、最高位戦＝最高位戦日本プロ麻雀協会、協会＝日本プロ麻雀協会
◆Mリーグ 2018年に全7チームで発足し、2019-20シーズンから全8チーム、2023-24シーズンからは全9チームに。各チーム、男女混成の4人で構成されレギュラーシーズン各96試合（全216試合）を戦い、上位6チームがセミファイナルシリーズに進出。各チーム20試合（全30試合）を戦い、さらに上位4チームがファイナルシリーズ（16試合）に進み優勝を争う。優勝賞金は5000万円。
（ABEMA／麻雀チャンネルより）
