ムエタイの試合で、解説陣が2度だまされた衝撃KOシーンが話題を呼んでいる。組んで押し倒してKO？ 頭突きでの反則決着？ 二転三転するカメラアングルの末に、スロー映像でようやく確認できたのは、まるで針の穴に糸を通すような鋭い戦慄の縦ヒジだった。
9月16日にタイ・バンコクで開催されたONE Championship「ONE Friday Fights 33」。ヤミン・PK・センチャイ（タイ）とジャン・ジンフー（中国）の対戦は3ラウンド開始直後に唐突なエンド。組んで頭突きに見えたダウンシーンは、別アングルから確認すると、ヤミンが放った針の穴に糸を通すような縦ヒジでの一撃によるものだった。
初参戦のタイ人・ヤミンと、ONEで1勝1敗の中国人ジャンの対戦は、両者の荒々しい打撃が飛び交う一進一退の攻防が繰り広げられた。しかし最終3ラウンド、思わぬ結末を迎えた。
ラウンド開始20秒、ヤミンが掴みにかかった瞬間にジャンは頭を抱えながらダウン。顔を押さえながらうつ伏せのまま動けないジャンを見たレフェリーがゴングを要求した。
ヤミンが身体を浴びせて相手を頭からリングに叩きつけたように見えた珍しいKOシーン。これにABEMAのゲスト解説・中田大貴は「ああ、これバッティングかな…」と指摘。 実況の齋藤寿幸アナウンサーも「もつれるように見えましたが…」と困惑した様子で続いた。
スローリプレイを確認すると両者が交錯しヤミンの頭部が勢いよくジャンに激突しているように見える。視聴者からは「頭だろ」「バッティングじゃね」「これは反則だ」と誰もがヤミンのバッティングを確信してブーイングが殺到した。
しかし、もう一つのカメラアングルで驚きのフィニッシュが明らかになる。超至近距離でヤミンが左ヒジ一閃。鼻頭から顔面をナイフのように鋭いヒジが襲った瞬間にジャンは苦悶の表情を浮かべ失神。ストンと急降下でマットめがけて落ちていった。
ヤミンが頭突きを使ったわけではなく、実際にはヒジを振り抜きジャンに一撃を浴びせていたことが判明すると「えっヒジだ」「これは凄い」「まさかの縦ヒジだよ…」と騒然。中田も「見えなかったですね、針の穴に糸を落とすような縦ヒジ」と驚嘆した。
フィニッシュブローについてヤミンは「もともとヒジ攻撃はプランにあったが、試合中にすっかり忘れてしまっていた」「コーナーに戻りコーチに"ヒジを使え！”と言われて使ったら成功した」とコーチのひと声によるノックアウトであることを明かした。
さらに家計を助けるためにリングに復帰したというヤミンは、ONEデビュー戦で35万バーツ（144万円）のボーナスもゲット。「ベルトを獲りたい」と今後への意欲を示した。
