「産業医のカウンセリングはハードルが高すぎる!」顔出し・通院ナシ “メタバースで悩み相談”という選択肢
【映像】心理士とモーターボートで海上を疾走(メタバース体験)
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 働きながらストレスや孤独感に悩む人が増えているなか、それらを未然に予防するため、メタバースを活用した新たなケアを行う企業を取材した。

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 仕事や職場での人間関係などによる、強いストレスや悩みから生じる「メンタルダウン」。厚生労働省の調査によると、仕事をするなかでストレスを感じている労働者の割合は82%に上るという。

 従業員のメンタルの不調を未然に防ごうと、産業医によるカウンセリングを提供している企業も多くあるが「周りに気づかれたくない」「時間がない」「受診のハードルが高い」などの理由から、なかなか利用されていない実情がある。

 そんななか、メタバース空間におけるアバターカウンセリングを提供する株式会社「MentaRest」の代表取締役を務める飯野航平CEOに話を聞いた。

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「メタバース空間で様々なアクティビティやメタバース空間のオブジェクトに触れていただくことで、非常にフラットなコミュニケーションができる。共通の話題を見つけたりしてスムーズにカウンセリングを受けていただける」

 メタバース空間に広がる島のような空間内でカウンセラーとともにバスケットボールやクルージングなどを楽しむ。そうすることでその後のカウンセリングが従来の対面よりもカジュアルになり、悩みの相談やストレスについて話しやすくなるというもの。実際にカウンセリングを担当するのは、臨床心理士や公認心理師の資格を持つカウンセラーたち。メタバース空間で行うことで通院は不要だ。アバターを使用することで顔出しも必要ないなどのメリットがあるという。

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「『話した内容が共有されてしまうんじゃないか』『昇進や昇給に関わってしまうんじゃないか』という“相談のハードル”があるのではないかと考えていた。このハードルを下げる意味でも匿名性を重要視している。また、メタバース空間で共通の話題を一緒に見つけられることで『緊張で何を話していいかわからない』という方でも、自己開示を積極的に行える」

 アバターを使うメリットとして、エビデンスの一つとなっているのが東京都市大学・市野教授の先行研究だ。ビデオチャットよりもVRアバターでのコミュニケーションの方が自己開示のスコアが高まり、相手に自分のことをより多く話すことが示されている。さらに、メタバースである点についてはこんな狙いも。

「大手の企業人事の方が問題に上げるのが『若手の早期離職』や『メンタル不調による休職』だ。コミュニケーションや文化なども違うZ世代への対応策を悩んでいる人事は多い。ゲームなどを通じて、オンラインでコミュニケーションを取ることに慣れているZ世代も多いので、マッチ度も高まっていくのかなと思っている」

 ほかにも、メタバース空間での関係を築いたうえで、必要に応じてビデオチャットや対面での相談に取り組みやすくなるのも強みの一つだという。こうした取り組みを始めたきっかけは、飯野CEOも過去に経験した“メンタルダウン”があると明かす。

「大手のIT企業で営業をしていて、好成績をキープしていた。ただある時、急に体調を崩してしまい内科を受診したところ、精神科を薦められた。まさかメンタルヘルスに不調をきたしているとは思わなかった。自分自身も“無自覚なメンタルダウン”をしてしまった経験から、症状が出る前に活用してもらうことが非常に重要だと考えている」

 サービスの最大のポイントは「メンタルの不調を自覚している人」ではなく、その「手前の人」も気軽に取り組むことができること。つまり、“予防”ができるのだ。

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「メンタルヘルスも当たり前に自分で管理できる。“体温計”のようなサービスを作っていきたい。今日は熱があるので、学校や会社を休もうという意思決定ができるように、メンタルヘルスに関する“気づき”をいかに多くの方に届けられるかが今後意識して伸ばしていきたいポイントだ」

 この取り組みについて、『ABEMAヒルズ』に出演した精神科医の木村好珠氏は「生活の中にカウンセリングを取り入れるというのはすごくいいサービス」として次のように評価する。

「私が診察するときは入室した際の表情や動きもみている。扉をガンと強く閉めたら『焦っているんだな』といったように一概に全てがメタバース内で解決できるというわけではないだろう。ただ、カウンセリングの1番のハードルは“診察を受ける”ことだ。そういった意味ではメタバース空間でアクティビティなどのように『カウンセリング』の体験をすることでハードルを下げることができる。これは大きなメリットだ。メンタルダウン予防のための初手になると思う。

 産業医もやっているが、やはり企業では全部は診られない。自分の身は自分で守ることを常に頭に入れておいてほしい。朝起きて会社に行くという毎日を繰り返すなかでも、自分の調子は毎日一緒ではない。どんな時でも100%をだそうとすると必ず無理が出てしまう。無理が続いてしまうと回復にも時間がかかってしまうので、日々の変化に気づいて自分に合った生活をすることが重要だ。起床時に『今日の調子どうかな』と自分に問う。そこで元気だったら頑張ってみる、少し疲れてるなら60~70%でセーブするなどして、自分を和らげてあげてほしい」

(『ABEMAヒルズ』より)

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