なぜ採用面接で愛読書を聞くと「不適切」なのか?ノンフィクションライターと考える背景
【映像】弁護士の見解は?

「好きな本は何ですか?」。企業の採用面接でこのような質問が「不適切」とされるのはなぜなのか。『ABEMAヒルズ』ではノンフィクションライターの石戸諭氏とその背景を考えた。

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 滋賀県教育委員会は高校生の就職試験を行う企業に対し「不適正な質問」を行わないよう呼びかけているが、その不適正な質問には「愛読書」「尊敬する人物」などが含まれている。

 さらに、厚生労働省も「公正な採用選考の基本」を定め、事業主向けのリーフレットにおいて「場を和ませるつもりで、家族や出身地に関することを聞いている」「思想や信条に関すること、愛読書などについて聞いている」などを採用面接では「不適切」と記している。

 なぜ、「好きな本」を聞いてはいけないのか? 島田法律事務所の島田直行弁護士は「思想や心情といったものは本来的に個人の自由とされ、採用選考において考慮されるべきではない。思想などを間接的に知る手掛かりになるため、愛読書などを聞くことにも慎重になるべきとされている」とその理由を説明。一方で、「『愛読書=質問できない』というのはあまりにも極端な解釈。これでは企業が委縮して「採用における選考」というものが形骸化してしまう。『質問する意味』を説明でき、きちんとした理由があれば愛読書を聞くこともできる」と説明。

 それではどのような聞き方をすると、問題になるのか。島田氏によると、「政治に関する本としてどんな本に感銘を受けましたか」「家族みんなが好きな作家や本がありますか」「悩んだときに支えになる自己啓発本とかありますか」「この本は自分の価値観に合わないと感じた本は」といった聞き方にはリスクがあるという。

 これを受けて石戸氏は「会社の業務に関連しないことを聞いてはいけない。これは大原則だ。例えば出版社の採用面接であれば愛読書を聞くのは当たり前のこと。同様に、ゲーム制作会社で好きなゲームを質問することは、どういうクリエイターを目指すか、など業務と結びつきがあるので当然のことだ」と説明。

 また、「もし選考に漏れた応募者が『好きな本を答えたことで落とされた』『業務と関係ない質問で不採用になった』と受け取ったら企業側にとってもリスクとなる。仮に好きな本としてあげたものが宗教関連だったらどうするのか? 知らなくてもいいことを積極的に知る必要はない」と指摘した。

 さらに、「多くの人は悪気無く聞いていると思うが、『業務と関係ないこと』にこそ慎重になるべき。自分の価値観がついていけなくなると『何もしゃべられなくなっちゃうな』という人もいるが、変化についていくべきだ」と注意を促した。
(『ABEMAヒルズ』より)
 

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