性風俗店の経営会社による「持続化給付金」訴訟は一審に続き、二審も敗訴となった。
新型コロナウイルスの感染拡大で売り上げが半分以下になるなど、事業が困難になった会社に対して給付された「持続化給付金」。関西にある性風俗店の経営会社が申請したところ、対象から除外。これは憲法が保障する「法の下の平等」に反するとして、国などに対し未払いの給付金を求める裁判を起こしていた。
しかし2022年6月30日、一審の東京地裁では性風俗業であることを理由に給付の対象外になることについて、「異なる取り扱いをすることは合理的な根拠がある」などと訴えを退け、会社側の原告は控訴。
控訴審でも「多数の国民の理解を得るのは困難で、除外には合理性がある」と、会社側の訴えを退けており、会社側は上告する方針だ。
弁護団団長の平裕介弁護士は「多数の納税者、あるいは多数の国民の理解が得られないから、それを考慮してコロナ給付金を出さなくても合憲かつ適法だという判断をしている」と説明。弁護団の調査では、コロナ支援事業から性風俗を除外したケースは265件あったという。
一審判決で「大多数の国民が共有する性的道義観念」に反することを理由に除外を妥当としたことを受け、弁護団は独自に2千人の世論調査を実施。控訴審では性に対する国民の多様性を示す結果を提出したが、一審同様に退けられた。
弁護団が実施した調査は、性風俗事業者への持続化給付金の給付について「確定申告をして納税し、反社会勢力と一切関係していない場合」と条件をつけて是非を問うもので、賛成は35.5パーセント、反対は20.5パーセント、どちらでもないが44パーセントという結果になった。
平弁護士は「めちゃくちゃなアンケート結果の評価」だとして「裁判所自身が偏見を持っているのに、自分たちが矢面に立つのは嫌だから、それが多数の国民の理解だみたいな。理由の理を重視する司法権、裁判所がこんなめちゃくちゃな判決をしているのは前代未聞」と憤った。
元衆議院議員の宮崎謙介氏は、アンケートは反社会勢力の除外などの条件づけがされていることに触れて「35パーセントの人が賛成しているというのは大きな世論。なのでこれはもう1回裁判所も考え直さなければ、やり直さなければいけないのではないかと個人的には思ってます」と指摘した。
ジャーナリストの青山和弘氏も「これは違法な風俗店じゃないわけですよね。だったら当然出すべきです」と、性風俗で働く人のなかにはシングルマザーなど、やむを得ない事情で働いている人もいるとして「『国民の理解』とかいう、あいまいなもので判断するのではなくて、やはり法治国家として法の下で平等に扱うというのが当然だと思います」と意見した。
タレントのくりえみは「風俗もプロの方がやられているちゃんとしたお仕事だと思うので、そこは平等に扱うべきなんじゃないかな」と、職業によって対応を区別すべきではないとコメントした。
(『ABEMA的ニュースショー』より)
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