DaiGo「資格ビジネスでしかない」 英検準2級と2級の間に“新級”導入で日本人の英語力は向上する?
【映像】TOEICにも“負のループ” 東大教授の指摘
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 日本英語検定協会は9月29日、英検の準2級と2級の間に新たな級を設けるという、大きな変更を発表した。級の新設は実に31年ぶりで、2025年度からの開始を目指すという。

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 現在、英検は5級から1級まで7階級あり、準2級を高校1年相当、2級を高校卒業相当とレベル設定している。新たな級を導入する背景にあるのは、準2級から2級に合格するためにそれまでの倍の2年間が必要とされ、高い壁があること。協会はそのギャップを埋め、受験者のモチベーション向上を期待し、級の新設を決めたという。

 一方、SNSでは、「準1級保持者だけど、英語は話せない。英検に意味あるのか」「受験料収入が減っているから、その対策だろう」といった疑問の声もあがる。新級の導入で英語の能力は上がるのか、そもそも英検を取得する意味は何なのか。『ABEMA Prime』で議論した。

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 日本の英語教育に問題提起をしている、英文学者・東京大学文学部教授の阿部公彦氏は「3級より準2級や2級が難しいという線引きはかなり恣意的で、あまり意味がないものだと思っている。それなりの合理的な理屈づけなり、データに基づく必要があるが、今回それだけのバックグラウンドがあるかどうかは疑わしい」とコメント。

 メンタリストのDaiGoは「高校卒業レベルの英検を取っても、英語が喋れる・使えるレベルに至っていないということは、いわゆる資格ビジネスでしかないのではないか。そもそも試験を作る側が、受ける側のご機嫌を取ろうとしている。“今まで1年で受かったのに、次2年かかるのはやる気がなくなる”という理由で、間の級を作るのはどうなのか」と疑問を呈する。

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 英検取得の大学受験のメリットとして、2級以上で試験の総合点に加点されたり、英語の試験が免除されたり、出願条件に英検準1級以上などの条件があったりする。

 阿部氏は「英検はある種老舗で、高校や中学が依存してきて、いまだに脱却できていない。しかも、英検が大学入試にマーケットを求めようとしていて、細分化すればするほど使ってもらえる可能性が出てくる。そういうことを多少見込んで改革している気はするが、それは間違っている」とする。

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 2022年度の英検受験者数は約420万人。対する世界共通テストのTOEICは、160カ国で利用され、受験者数は約322万人。このうち、日本が約197万人で約61%を占める。ただ、地域別平均スコアを見ると、28位の561点だ。

 阿部氏は、TOEICも負のループに陥っていると指摘する。

 「TOEICも勉強をすること自体が目的化して、本屋さんに行くと対策本ばかり。点数が高いからといって実際に英語の力があるかというと、微妙な気はする。ただ、日本にいると英語を使う機会がないので、モチベーションを高めるために点数競争に走るしかない。そういう構造がむしろ問題だ」。

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 英検もスコアを出すようになっているが、「1級、2級などの線引きが裏目に出ている。そのラインが正確であればまだ意味があると思うが、あまり正確ではない。先月受けた人と今月受けた人で、同じレベルで合格者が出ているかどうかが実ははっきりしていない。どのテストを受けても同じレベルのテストになるように、テスト理論の助けを借りた『等化』という調整を行っている。それをするためにはある程度、過去問を使い回す必要があるが、TOEICやTOEFLは基本的に公開しない。一方で、英検は過去問を販売しているので、システムがうまくいかなくなるということが出てくる」とした。

 その上で、「テストを健康診断みたいなものとして扱うべきだ」と推奨。

 「事前に絶食したり、目の体操をしたりしていたら、健康診断の意味はない。つまり、英語の活動をしていて、自分がどのぐらいの位置にいるかを測ってみようというかたちでテストと付き合うべきだ。そうすれば、実際に英語を使ったり、読んだり喋ったりすることが大事だという意識になる。テストを突破することにモチベーションが向いてしまうと、歪な形で英語を勉強する。英語の勉強は地道で面倒くさいこともしなくてはいけないので、英検もやらないよりは良いと思う。しかし、絶対視する必要はないし、複雑化して新たな級を作ることに意味があるのか」と述べた。

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 DaiGoは「全員、テストを誤解している。英語ができるようになったことを確認する場なのに、喋れないような人が通ってしまったりする。英検の勉強自体は良いことだと思うし、何かのきっかけになるというのはいい。でも、若い子たちの時間を奪い、自分が上か下かよくわからないマウンティングが発生するわけだ。そういう様々なストレスを払うほどの価値が英検にはない。できるようになったかを測れないテストには意味がない」と苦言を呈した。

 英検受験者約420万人のうち、中学・高等学校(高専含む)が約310万人と7割超を占める中で、英語の学校教育はどうあるべきか。

 阿部氏は「将来必要になった時に、必要とする英語ができるようになるための基礎を勉強させる。つまり“幹”になる部分で、あとは自分でやってくれというスタンスだ」とした上で、「単語を覚えるとか英語をたくさん聞くとかは絶対にしなくてはいけない。1日5分とか、単語10個とか、上手に宿題を出して家庭でやってもらう。ただ、それで英語が嫌いになったら元も子もないので、興味を持たせるような方向性も必要だ」と述べた。

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 ネット掲示板「2ちゃんねる」創設者のひろゆき氏は「結局、雇われている職員、日教組所属の英語教師の方々は、できないものは教えられない。ネイティブの、例えばアーカンソー州にいる黒人が喋っている英語をパッと聞き取って意味を伝えろと言われても、日本人の英語教師の9割ができないと思う。本来は、“アメリカ人の英語はこういうものなんだ”と理解しなくてはいけないが、“そうじゃないままでも英語はできる”ということにした結果が今だ。これを続ける限りは変えられないのではないか」と苦言を呈した。(『ABEMA Prime』より)

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