イスラエルとイスラム組織「ハマス」の対立は、今後私たちにどんな影響を与えるのか。そしていつ終わるのか。
国際政治学者・舛添要一氏は「鍵はアメリカが握る」と語る。
パレスチナのハマスがイスラエルに奇襲をかけ、イスラエルが反撃している状況だが、その背後にはイランの協力があり、ロケット弾の提供も含めて支援していると、舛添氏はみている。一方のイスラエルは、ナチスにより行き場を失ったユダヤ人が、アメリカへと逃げた経緯もあり、「圧倒的にアメリカの中ではユダヤ人の力が強く、アメリカ人はイスラエルを支持する」。なお日本は、これまでパレスチナとイスラエル双方に人道支援を行っていて、舛添氏が公職に就いていた頃は、両国の大使が必ずあいさつに来ていたそうだ。
アメリカはこれまで、サウジアラビアとイスラエルの国交正常化を模索してきた。サウジアラビアはイランと不仲であるものの、中国の仲介のもと、国交を正常化した。もともとは、パレスチナ問題を解決しない限り、イスラエルとの関係性は成り立たないとするのが、アラブ諸国の基本的方針であったが、それを忘れたかのような各国の動向を受けて、ハマスが動いたと、舛添氏は説明する。
今後さらに情勢が深刻化した場合、考えられる「最悪のシナリオ」とは何か。舛添氏は「第3次オイルショック」が起き、ガソリンや暖房代、物流などの価格が爆増すると語る。第1次、第2次ではトイレットペーパーや洗剤の買い占め騒ぎも起きた。石油を原料にした製品や、製造に電気が必要なものは、値上がりする可能性がある。
日本の原油輸入は中東依存率が92.5%で、相手国はサウジアラビアがトップ(資源エネルギー庁)。中東に何かあれば、石油は価格高騰や輸入できないおそれがある。ただでさえウクライナ戦争で石油が高くなっていることから、さらなる物価上昇が続くかもしれないという。ウクライナ戦争が続くなか、中東との二正面作戦(異なる相手と別地域で争うこと)となるため、「そこでも大変」と舛添氏は語る。
もしイランが介入し、レバノンのシーア派組織「ヒズボラ」も参戦するとなれば、北(レバノン)と南(ハマス)、そして東(イラン)と3方面からの戦争が起こるおそれがあり、イランの参戦によって、イスラエルへ空母を派遣しているアメリカの出方も変わってくる可能性もある。
舛添氏は、現状では国同士の戦争になっておらず、「それよりも心配なのはテロ活動」とみている。世界中でテロリストが動き出すと、日本も巻き込まれかねない。中国・北京でイスラエル大使館職員の家族が襲撃されたことを引き合いに出し、「東京でそういう事も起こりうる」と警鐘を鳴らす。
また、アメリカの動きによっては、「アフガニスタン紛争の悪夢」が再び起こりうるとも語る。ソビエト連邦(当時)の撤退後、アメリカがアフガニスタンへ入ったが、「20年間いて、成功しなかった」。カスピ海を通じ、イランとロシアがつながっていることから、舛添氏は「ほぼ第三次世界大戦が始まっている。アフガンの二の舞どころじゃない」と説明した。
では、どうすれば停戦につながるのか。舛添氏は現在のイスラエル・パレスチナの関係を「ひとつの土地に、正しい権利書を持った人が2人いる」と表現。どちらも正しいからこそ「力でやるしかない。力が強い方が勝つんです」として、空母を投入して戦闘機を飛ばせる能力のあるアメリカなどが、しっかりしないといけないと熱弁する。そのうえで「ウクライナ戦争も、今回の中東紛争も、(来年11月投開票の)アメリカ大統領選挙が最後はカギを握るのでは」との予測を示した。
(『ABEMA的ニュースショー』より)
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