■“きょうだいは仲良く”は呪縛?助け合う義務はどこまで?
自身も3歳上の毒姉に苦悩し、当事者を取材した『ふがいないきょうだいに困ってる』の著者でもある吉田潮氏は、「姉は毒というよりは、ふがいないくらい。親に生活の基盤を完全に依存していて、働かない、金ない、貯蓄ない、年金を払わない、生命保険も入っていない。それで40代後半という状況で、まずいぞとお金を貸したこともあった。今はちゃんと働いているが、家族の中で責任感のある人が抱え込むようなシステムになっていると思う。“家族で助け合おう”“きょうだいは仲良く”という縛りや家族の呪縛があるのではないか」と分析。
著書の中では、トラブルを招く毒きょうだいについて、「実家から離れない」「金の無心をする」「暴言を吐く」「宗教にハマる」の4つに分類。ほかにも、暴力や性加害もあるとしている。「うちのように共通言語があるきょうだいもいれば、もう会話がないきょうだいもいる。この中には、本当にグラデーションがある」。
また、問題がより表面化する場面として、「自分たちが40、50代、親が70、80代になって、相続や介護など家の支度が押し寄せてきた時。本当は助け合いたいが、そこで毒のあるきょうだいだったりするとうまくいかず、“しっかりしてよ”と思う」とした。
では、きょうだいが助け合う義務はどこまであるのか。川口正広弁護士によると、兄弟関係解消や扶養義務を免れる「絶縁」という制度はないという。考えられる手段として、住民票の閲覧制限措置で住所を明かさず距離を置くこと、内容証明で「接触しないで」と意思表示することなどをあげている。
また、民法第877条で「直系血族及び兄弟姉妹は互いに扶養をする義務がある」とされているものの、自己の扶養家族(夫・妻や子どもなど)が優先で、余力がない場合は助ける必要はないという。借金についても、きょうだいという理由で支払い義務が発生することはないそうだ。
吉田氏は、毒きょうだいで悩む人たちの共通点は「きょうだいだからわかり合えるのでは」と思っているところだと指摘。その幻想は捨てるべきで、「“縁を切ってもいい”と思えることが救いになる」としている。(『ABEMA Prime』より)
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