■10歳上の兄から金の無心、絶縁も検討

「兄は借金がある。ギャンブルはするし、飲酒もするし、タバコも吸うし、車にも乗る。何かあった時に、嫁いだ家に迷惑がかかるのが嫌で、絶縁を検討した」

【写真・画像】暴力に金の無心など自身に悪影響を及ぼす “毒きょうだい” 「縁を切りたくても切れない」当事者の不安と苦悩…助け合う義務どこまで? 3枚目
拡大する

 こう話すのは、医療現場で働くみほさん(37)。10歳上の兄からの金の無心に苦しめられてきた。「夜中に酔っぱらって電話がかかってきて、お金の催促。『(俺の借金は)お前が払うんだよ!』とずっと言われてきた」。

 夫からの助言もあり絶縁は踏みとどまっていたが、9月に母が亡くなり、葬儀の場で数年ぶりに兄に再会。さらに驚くべきことを知る。「7年間、まったく仕事をしていなかった。アパートの経営をしていた母の家賃収入で兄は生計を立てていた。本当に不甲斐ない」。

【写真・画像】暴力に金の無心など自身に悪影響を及ぼす “毒きょうだい” 「縁を切りたくても切れない」当事者の不安と苦悩…助け合う義務どこまで? 4枚目
拡大する

 兄は素行がよくなく、“助けてくれる人に依存するタイプ”だったそうだ。「私が住んでいる市が無料で行っている、どういうカウンセリングを受けられるかという相談室がある。母が亡くなった後、兄の様子があまりにもおかしいので、相談に行った。その時に泣いてしまったが、相談員の方が『あなたはしっかり自立して今の生活があるから、自分の幸せのことを考えなさい。お兄様には奥様がいるから、その問題をあなたが引き受ける必要は全くない』と言ってくれて、本当に胸から重い物が下りた気がした」。

 母が亡くなって関係性に変化はあったのか。「“兄妹としてのつながりがまたひとつ減ってくれた”と思った部分は正直あった。母がすごく兄をかわいがっていて、仕事をしていないことも強く言っていなかったようだ。この先2人で処理しなければいけない家の問題もあるが、それが終わったらだんだん遠ざけていきたいと思っている」。

■“きょうだいは仲良く”は呪縛?助け合う義務はどこまで?
この記事の写真をみる(6枚)