弁護士「お祝いムードに違和感。最高裁の差し戻しはトランス女性に対するヘイトになりかねない」性別変更の手術要件に”違憲”も当事者の苦悩解消せず
【映像】夏野剛氏は「画期的な判断」
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 性同一性障害の人が戸籍上の性別を変更するためには手術が必要とする特例法の規定について、最高裁の大法廷が25日、「違憲」とする初めての判断を示した。「自己の意思に反して身体への侵襲を受けない自由」を放棄して、生殖腺除去手術を受けるか、性別変更を断念するかという、過酷な二者択一を迫っていると指摘。裁判官15人全員一致の判断で、最高裁が法令を違憲としたのは12例目となる。このニュースについて、25日の『ABEMA Prime』で議論を交わした。

【映像】夏野剛氏は「画期的な判断」

 タレントの山崎怜奈は、「前提として、これは戸籍上の性別に関わる話。個別の場面での取り扱いは別で、すべての場面で変わるわけではない」と指摘。「トイレやお風呂といったわかりやすい議論になることが多いが、それで差別を煽るような言動をするのはよくない。身体と性の不一致に悩む人たちの人権を守るという観点で、どう話を進めていったらいいかを出発点にするべき」と話す。

 近畿大学情報学研究所所長の夏野剛氏は、「今回の判断は画期的だと思っている。最高裁は、“原理原則に基づいたらそうだよね”ということがあっても、行政上の手続きに寄った判断をするのが通例だ。しかし今回は、“性を変更しようとする人が外科的手術を受けないと認められないのは人権を無視している”という原理原則に立ち返っている。今後もこのような判断をしてほしい」との見方を示した。

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 フリーアナウンサーの柴田阿弥は、「この先重要になってくるのは2点。手術の必要がなくなった時に、戸籍変更の要件は見直されるべき。医師の診断を2人以上から増やすなどして、判断の信用を担保する必要がある。もう一つが、LGBTQ問題を悪用した性犯罪者からどうやって女性の権利を守っていくのか。この不安をそのままにしておくと、トランス女性へのヘイトも広がってしまう。議論が進まないと対立が深まっていってしまうので、早急に対応されるべきだと思う」と訴えた。

 最高裁の判断に申し立てをした本人は、「予想外の結果で、大変驚いています。今回の裁判は私の困りごとから行ったことで、性別変更は今回の大法廷での審議ではかなわず先延ばしになってしまったことは、非常に残念です。今回の結果が良い方向に結びつくきっかけになると嬉しいと思います」とコメントしている。

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 また、代理人弁護士の南和行氏は、「ニュースの伝え方が『お祝いムード』で違和感がある。高裁に差し戻された5号要件(外性器)について、問題になるのはトランス女性だけである。最高裁は審議が不十分だから差し戻した形だが、トランス女性に対するヘイトになりかねない」と警鐘を鳴らした。(『ABEMA Prime』より)

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