就活戦線でメガバンク人気復活 「業務の多様化もあり、さまざまな経験を積めるのが魅力」 ノルマ廃止や働き方改善? 転職前提も?
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 今年も秋を迎え、就職活動が活発になる中、今ある変化が起こっている。それがメガバンクの人気復調。就職希望ランキングで人気が下降していた三菱UFJ、三井住友、みずほなど大手グループが軒並み上位に返り咲いた。

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 銀行といえば、かつては高給でエリートが集まる職場だったが、バブル崩壊以降、破綻や再編を繰り返し、近年は経済の停滞やマイナス金利政策などが経営に重くのしかかっていた。さらに、激務、出世競争など厳しい職場というイメージや、暗号通貨やデジタル決済、給与のデジタル払いなどの普及によって今後、不要になるとの声もあがっていた。

 SNSでは「働き方を改善した結果」「ほかと比べて安定している」「将来、大量リストラにあう覚悟が必要」など様々な声があがる中、『ABEMA Prime』で“メガバンク人気”を考えた。

■就活戦線でメガバンク人気復活の理由

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 メガバンクを第1志望に就職活動している大学3年生のモリタさん。「金融業界に興味や関心がある中で、昨今の銀行は業務の多様化もあり、さまざまな経験が積めると思っている。他の金融はある程度、業務が限定されると思うが、銀行は希望を出して異動することが可能だという話も聞いたことがあり、そこに魅力を感じている」と話す。

 メガバンクに13年間勤務し、リクルートエージェントで金融業界を担当している水谷努氏は、復調の要因として「仕事の魅力度アップ」「人事制度の運用の変化」の2点をあげる。

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「“預金と貸出と為替で稼ぐんだ”というのが昔の銀行だったが、低金利・マイナス金利のため利益を出せない。そこが十数年前くらいから変わってきていて、今は情報をどういうかたちで利益につなげるのか。例えばM&Aとか、ストラクチャードファイナンスという仕組み金融などを増やしている。また、社会課題に向き合うようなサステナブルファイナンスなどもやるようになってきていて、仕事の魅力がアップしているというのが1つ。もう1つの人事制度の運用は、昔はサービス残業がわりと暗黙の了解だったところから変わってきている。パソコンでの勤怠管理とか、リモートワークができるとか、問答無用の転勤も最近はなくなり地域限定になってきている。その方の家庭事情を考えて、転勤させないこともある」

 三井住友銀行に5年間勤務、現在はSNSで転職情報を発信している「ただの元人事」さんは「三井住友銀行は“ノルマの三井住友”と言うぐらいだったが、それがなくなった。僕は今社会人13年目だが、同期は残業もすごく減っている。また、副業や転職前提で考えると、お金の勉強ができるし、辞めても潰しがきくし、社会的なウケもいい。“ブラックだ”と今まで敬遠していた人たちが入ってきている」との見方を示す。

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 一方で、メガバンクの店舗数は縮小傾向にある。モリタさんは「オンライン決済や手続きの発展に後押しされていると思うが、悲観的な部分だけではなく、コストカットと捉えることもできると思う。企業としてはある種、良い方向に進んでいるとも言えると思うので、ビジネスモデルを見つめ直していくことが大切なのではないか」と述べた。

 ただの元人事さんは「銀行は、ヒト・モノ・カネのカネの部分なので、やはりなくならない。お金もあるので、時代に合わせてビジネスモデルを変えられるし、必要になればフィンテックの会社を作り、買い、投資する。姿や形、収益体制は変われど、ずっと残るのではないか」とした。

■安定ではなく転職の“踏み台に”?

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 近畿大学情報学研究所所長の夏野剛氏は「就活と産業、どちらの役割から語るかで全然違う」と話す。

「就活の観点から言うと、“就職ランキング”が一番良くない。採用人数も採用スタンスも違うからだ。何社も経験した人間としては、自分がどういうタイプの人間かをまず自己分析した上で、合った会社に入るのがいいと思っている。新しいことを生み出したい人と、ルールどおりの仕事をすることが好きな人、これはやはり適性の問題だ。銀行という世界は完全に後者で、特別おもしろいことや新しい発想をしている人は潰される。でも、それはそういう業態ゆえなので、向いていると思う方は金融業界に行けばいい」

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 一方で、水谷氏は「銀行の採用は、昔でいう“右へ習え”という人をあまり採らなくなってきている。例えば、公務員の人やコンサルの人を採用したり、1社目でベンチャー企業に入り、そこでやった新しいことを活かしたいというかたちで入行する方も多くなっている」と指摘する。

 ただの元人事さんは「僕が銀行に入るにあたり、“安定が~”とか“向いているから~”とかは関係なく、やはりお金の勉強ができ、次のステップにできる点。自己分析しても正直わからないから、何社か経験することになるはずだ。学生は銀行に行ったほうがいいと思うタイプだが、選択肢が本当に広く、いろんな業界の勉強もできるので、何か違った時に修正がきく。僕の周りで辞めた人はみんな『最初銀行でよかった』と話している」と説明した。

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 では、メガバンクもある種の“踏み台”と捉えられるのか。「そう思う瞬間がやはりある。僕が入社した年の9月か10月、最初の辞令発表があった時に、“◯◯君”と部長室に呼ばれた40歳過ぎのおじさんが泣きながら出てきた。そうしたら、“クレジットカード会社に行くことになりました”と。結局は40歳で銀行を引退する、片道切符の出向に行ってしまうのを間近で見ると、いろんな選択肢を持っておかないと不安になるというのは正直なところだ」と述べた。(『ABEMA Prime』より)

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