イスラエルを軍事支援してきたアメリカで今、変化が起きている。若者や非白人層を中心に、パレスチナに同情する人が増えてきているというのだ。
【映像】米若者のイスラエル離れ…大統領選への影響
ユダヤ系住民の影響力を背景に、アメリカではイスラエルを支持する人が多い。しかし、その価値観は世代によってギャップがあるという。テレビ朝日外報部の中丸徹デスクが解説する。
「高齢者はテレビから流れてくる情報を主に信用している。一方、若者はイスラエルがどんな攻撃をしているのかをSNSで自分で選んで見ている。だから『やりすぎ』だと感じる人が多い」(中丸徹デスク)
いまやアメリカの若者の3割が、ニュースはTikTokで入手しているという調査結果もある。CNNでの最新世論調査でも、「イスラエルのハマスへの対応に正当性があると考える人」は、65歳以上の81%から年代ごとに低下し、18〜34歳では27%となり、その違いは顕著に表れている。
アメリカ政治に詳しい、上智大学の前嶋和弘教授は「特に若者、非白人が、かなり批判している。一方で、年が上の人たちは、まったく違う絵を見ている」と説明する。
「(高齢者の価値観を形成する)それは例のホロコーストであって、とても苦しい思いをイスラエルに今いる人たち、ユダヤ人が経験している。ユダヤ人を助けてこられなかったアメリカは、罪をあがなう、贖罪(しょくざい)の意識がある」(前嶋和弘教授)
中丸デスクは、CNNの結果を「年齢によって考え方が正反対と言えるデータ」とみている。高齢者はテレビ世代で「ナチスドイツに迫害されていたユダヤ教徒をアメリカが第2次世界大戦で救った」ことを誇りにしているが、若年層はインターネットで攻撃を受ける側の映像も見ることがあるため、「イスラエルやりすぎ」「このストーリーには無理がある」と感じるといい、「見ている情報が、テレビ世代とネット世代では違う」と紹介した。
来年にはアメリカ大統領選挙が迫っている。民主党の支持者でも、世代間で意見が割れているため、バイデン政権には不利に働いていると、中丸デスクは指摘する。対するトランプ前大統領の共和党には、イスラエルを支持するキリスト教福音派がついているため、政策は「あまり変えない」と見ている。
そのため、現状では「バイデン大統領に苦しい展開」だが、世代別のメディア接触による考え方の違いが、あと1年でどう変わるかによっては「逆転もある」と解説した。
(『ABEMA的ニュースショー』より)
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