好きな国で自由にリモートワーク「デジタルノマド」が増加中 各国が呼び込むねらいとは?
【映像】「デジタルノマド」に求められる資質とは?
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 IT技術を駆使し、リモートワークで収入を得ながら世界各地を旅する「デジタルノマド」と呼ばれる人たち。

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 前川広貴さん(29歳)は働く人と企業をつなげるヘッドハンターとしてリモートワークで働き日本から収入を得ながら、世界各地を旅している。

 SNSを通じてデジタルノマドの暮らしを発信する前川さんが2年半で訪れた国はおよそ30カ国。仕事終わりに夜の屋台で現地のグルメを食べたり、行く先々で仲良くなった人たちと交流をしており、「海外旅行や旅が好きな人には非常にメリットが高いライフスタイルでは」と語る。

 前川さんのようなデジタルノマドは現在世界に3500万人いると推計されており、もちろん日本にも滞在している。『ABEMAヒルズ』は東京のとあるホテルでリモートワークをしていたデジタルノマドたちを取材した。

 これまで40カ国以上を訪れたというアメリカ出身のクリスさんは「最近他の国に行ったが日本にすぐ帰りたくなった。日本はほとんどの場面で期待以上のものを得られる。がっかりすることがないんだよね。日本の焼肉は最高!」と絶賛。また、パートナーと一緒に「カップルノマド」として来日したオランダ出身のニックさんは「仕事をしながら出来る限り色々な文化を知りたい」と語った。

好きな国で自由にリモートワーク「デジタルノマド」が増加中 各国が呼び込むねらいとは?
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 観光客と違い、滞在期間が長くなるのがデジタルノマドの特徴。調査によると、およそ8割が日本で1カ月以上滞在することを希望し1カ月の想定生活費は日本円でおよそ32万円になるという。ちなみに、彼らの平均月収は78万円超だ。

 デジタルノマドを受け入れる環境の整備を進める日本デジタルノマド協会の大瀬良幹事は「今後10年のうちに10億人以上に市場が広がっていくというデータもある。世界中を旅しながらリモートワークを続けるという人たちは確実に増えてきている」と話した。

 専門性が高く、プロフェッショナルなスキルをもつデジタルノマドたち。現地の雇用を奪うことなく地域経済に貢献してくれることもあり、日本でも誘致に力を入れ始めている。

 今年10月には、福岡市が全国の自治体として初めてデジタルノマドの誘致事業「COLIVE FUKUOKA」を実施。世界24の国と地域からおよそ50人が参加した。大瀬良さんは彼らが秘めた可能性について「スタートアップとデジタルノマドが新しいビジネスマッチングについて語り合うなど、ただの観光消費ではなく、地域の新しい可能性を生み出せる」と話した。

 また、今年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」でも「『デジタルノマド』の呼び込みに向け、ビザ・在留資格など制度面も含めた課題についての把握・検討を行い、本年度中の制度化を行う」と掲げており、積極的に誘致する姿勢を示している。

 保険や税金、住民票といった書類作業の煩雑さなど気を付けるべきことも多いというデジタルノマド。しかし、それ以上の魅力があると大瀬良さんは話す。

「ライフスタイルを自分で快適にデザインできる時代がやってきており、その手段の一つがデジタルノマドだ。より多くの方々が自分らしい働き方を選択できる社会になれば、もっと楽しい国、楽しい町になるのでは」

■デジタルノマド誘致に向けた課題とは

 米国の旅行情報サイト「A Brother Abroad 2021年統計」によると、世界では約3500万人がグローバルに活動しており、市場規模は7870億ドル(110兆円)。その内約34パーセントが年収約700万円〜3500万円の高収入の知識労働者だという。

 デジタルノマドにはどのような能力が求められるのだろうか?

 越境リモートワークに詳しい宇賀神崇弁護士は「フルリモートで自らの仕事の価値を認めてもらうだけの高いスキルときめ細やかな対応が求められる。滞在先で思いもよらない課税を受けたり不法就労とみなされるなどのトラブルも起きうるため、常にビザや社会保険制度など最新の情報を自分で調べ、解決する必要がある」と指摘。。

 また、国が積極的に呼び込もうとしている理由については「高所得層の来日によるインバウンド収入拡大が大きな目的。国内の仕事も受けてくれればIT人材不足を補え、交流による新たなイノベーションが生まれることも期待できる」と分析した。

 さらに「既に45カ国が『デジタルノマドビザ』を発行しており(11月時点)、今後も爆発的に増えることが予想される。最近はドイツなど内需が大きい主要国でも導入しており、韓国も導入の方針だ」と海外でも積極的な誘致が増えている状況を解説する一方で、制度導入の課題について「日本で得る収入などに課税するか免税するか、日本の社会保険加入を課すか、なども議論が必要だ。他国で社会保障制度に加入していれば二重払いの問題も生じるが、解消するには外交交渉が必要となるなど簡単ではない」と議論の必要性を指摘した。
(『ABEMAヒルズ』より)

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