今、子どもを持つ親の間で話題になっている「おうち英語」。自宅でお金をかけずに英語に触れさせるだけで高い英語力を獲得した例が増えているという。
『ABEMAヒルズ』は実際に「おうち英語」を進めた家庭を取材。お邪魔すると、姉妹がクリスマスツリーの飾りつけをしていた。
姉:I wanna decorate great this black one.
(この大きい黒いやつを飾りたい)
妹:I want to decorate this brown one, this snows.
(私はこの茶色いの飾りたい、この雪)
姉:No, no.I wanna decorate it here, because it's human world.
(だめだめ、ここにはこれを飾りたい。人間の世界だから)
流暢に英語を操るのは、小学2年生と年長の姉妹だ。両親ともに英語の話者ではなく、インターナショナルスクールに通っているわけでもない。どのように英語を習得したのか?
母親のいくみさんは家庭で英語の歌や動画、アプリなどの教材を使って英語に触れる環境を作る「おうち英語」を実践。「おうち英語」を始めたのは自身が英会話教室に通った際に「上達には量が必要」と痛感したからだという。「家の中を留学環境にする」という試みの結果、子どもたちの英語力が急成長したのだ。
堪能な英語力を持つ姉は、英語で本を書くのが好きとのこと。「英語で書くほうが簡単?」と聞くと「Both is easy.」(どっちも簡単よ)との返事が。
そして驚くべきことに両親は英語がけっして得意ではなく、発音にも自信がないという。それならば、よほど教材にお金をかけているのか?
いくみさんは「小さい頃は教材を全く使わず英語のYouTubeを見せ、英語の絵本を片言で読み聞かせていただけ。その後、英語のアプリなどに対して年間数千円程度使っている」と話している。
■子どもは、英語に触れる『量』が重要
低予算で子どもの英語力を高められるポテンシャルを秘めた「おうち英語」。その効果を第二言語習得について研究する早稲田大学の尾島司郎教授に聞くと「私も驚き、調べてみたが一部は本当に素晴らしい英語力を身につけている。しかし一方でうまくいってない、苦労されているケースもある」と回答。
英語はやはり早くから始めたほうが良いのか。よく言われる「子どものほうが伸びが早い」という説は本当なのだろうか。尾島教授は時期ではなく英語の接触時間がポイントとしたうえで、幼い子どもと中高生以上の学習者で習熟度がどう上がっていくかを図で説明した。
「最初は中高生や大人のほうが伸びが早い。集中力やモチベーションがあり、半年程度で急に伸びる人がいる。対して幼い子どもの学習はゆっくり進み、大量の接触時間が必要。ただ、学習時間が数千時間になった時に優位性が出てきて、ここで中高生以上から始めた学習者を上回る」
英語の「聞き流し」については「効果はあるが、子どもでも大人でも、本人が興味を持てるコンテンツでなければ続かない。『興味を持てない。何を言ってるのか全くわからない』となれば効果は薄い。『ある程度言ってることはわかるけど、時折分からない表現が出てくる程度』が良いだろう。また、音声だけでなくビジュアルでも理解できる映像コンテンツも効果的だ」と解説した。
その上で尾島教授は「喋れるというのはあくまで一つのスキルにすぎない」と話す。
「自分の話を最大限伝えるには、英語が喋れること以外にプレゼンやウェブで発信するスキルなども必要。高い英語力があればたくさんの人にアイデアや思いを届けられるものの、完璧な発音や文法は必ずしも必要ない。国際的な場でも非ネイティブな方達は“特有の訛り”でもって英語を駆使している。多くの人にとってあくまで英語はツールの一つであり、『どう活用するか』が求められている」
(『ABEMAヒルズ』より)
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