この世で最も死に近いと言われる精神疾患“摂食障害”。正常に食事をとれない病で、必要以上に食べ過ぎたり、食べたものを吐いてしまうなど、自分ではコントロールができなくなってしまう。
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患者数は推計22万人。若い女性に多いとされるが、約1割が男性と言われている。見過ごされがちな男性の摂食障害と、その実態について、『ABEMA Prime』で当事者と専門家と共に考えた。
■摂食障害の男性 「食べ物しかストレス発散の場がなかった」
「幼少期に太っていたのと、その頃に母に捨てられている経験がある。太ってしまうことで、またその時の自分になってしまう恐怖、トラウマみたいなものがあった。仕事でストレスがすごく溜まっていたときに、家族と再会して一緒に生活をするようになったが、家族との関係性は悪い。仕事場でも家でも居場所がなく、食べ物しかストレス発散の場がなかった」
食べては嘔吐しての繰り返し。「常に空腹感があるので、ゾンビのような感じで、食べ物のことしか考えられなくなっていく。ただ、自分では病気だと思っていなかったので、いつでも元に戻れる感覚だった」と話す。
症状は今も続いており、番組出演前にも吐いてきたという久木野氏さん。「自分のやりたいことや、誰かが期待してくれることがあるとコントロールできる。仕事のために朝と昼は嘔吐しないと決めていて、残りの夜は楽しむくらいの気持ちでいるほうが治る気はする」との見方を示した。
医師で「摂食障害全国支援センター:相談ほっとライン」代表の河合啓介氏は「1人で治す方もいらっしゃるが、専門家に相談しながら、家族、友達、学校などいろんな力を借りながらグループで支えていくのが一番大事」と話す。
摂食障害を誰かに相談したことはなかったのか。久木野さんは「生まれも育ちも地元で、小学生の頃からの友達とつながっている。自分がこんな状況になったのは大人になってからだったので言えなかった」と答えた。
■男性の摂食障害と治療方法
男性の摂食障害の特徴として、河合氏は「痩せを追求する女性に多い拒食症、過食症以外に、男性の場合は脂肪を減らしてより筋肉のある体を作りたいということがある。正常な体型なのに、こだわりがだんだんひどくなってきた方を、摂食障害の枠組みで捉えようというのが最近の欧米の考え方だ。もう一つ、「むちゃ食い障害」と言って、たくさん夜に食べてしまい、過体重で生活習慣病になってしまうことも最近は枠組みに入っている。それらを踏まえれば、アメリカでは3人に1人が男性というのは腑に落ちる」と説明。
主な治療方法には、心理カウンセリング、家族療法、認知行動療法、対人関係療法、薬物療法、入院治療、行動療法が挙げられるが、河合氏は重要な点を2つ挙げる。
「1つは栄養療法だ。痩せてしまうと考え方が非常に窮屈になり、性格傾向が変わるということは明らかにされている。脳に栄養を入れるだけで元気になっていくので、その知識をつけてもらうこと。もう1つはストレスの発散法をいくつか持ってほしい。食べる以外に、スポーツ観戦や友達とショッピングに行くとか、いろいろな価値観を持っていただくことが立ち直る一つのきっかけだと思う」
プロデューサーで慶応大学特任准教授の若新雄純氏は「ストレス発散として、食べるとかお酒を飲むのは手軽だから、僕らはそこに集中しがち。ポートフォリオを組んで分散したほうがいいということだ」と投げかける。
相談先として、「摂食障害全国支援センター」がある。河合氏は「せっかく病院に行っても、“専門じゃないので治療できません”と言われてしまうと、患者さんは非常に傷つく。ここ(047-710-8869)に電話をいただければ、日本中の専門的な治療施設を紹介し、合わない場合はまた次の施設を紹介できる。無料なので、お気軽にこちらに電話をしていただきたい」と呼びかけた。(『ABEMA Prime』より)
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