部下の大半が一斉退職…「振り向いたら誰もいなかった」 “毒上司→いい上司”になるためには? 夏野剛氏「気づきを与えることが大事」
【映像】部下7人のうち5人が一斉退職「振り向いたら誰もいなかった」
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 今月発表された新卒社員に関する調査(レバレジーズ株式会社、ハタラクティブ調査)で、直近5年間に新卒で社会人になった4人に1人が退職していることがわかった。そのきっかけで1位となったのが「上司・先輩の発言」。6割以上の新卒が上司との関係に悩んでいる。

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 部下が離れていく“毒上司”は、どうすれば変われるのか。『ABEMA Prime』で議論した。

■部下7人のうち5人が一斉退職 「一人で突っ走って、振り向いたら誰もいなかった」

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 40代の管理職・すけ部長さんは、7人の部下のうち5人が一気に退職した経験がある。当時の状況について、「立て直しを命じられて異動した部署で、まだ27、28歳と若かったこともあり、人一倍ガツガツやっていたが、周りが冷めている感じだった。“お前らが当事者だろう”と感情的に叱ることもあり、だんだん部下から反発を食らうようになった。俺の背中を見ろというよりは、一人で勝手に突っ走って、振り向いたら誰もいなかった」と話す。

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 プレーヤーと管理職の仕事は想像と違っていたという。「そんなに大きい会社ではなかったので、数字を上げた人間が自然と管理職になっていく流れだった。私に命じられたミッションがV字回復で、部下育成は命じられていない。その状態でアサインされて(任されて)、後から“部下が育成できてないじゃないか”と詰められて、しんどい思いをした」と振り返る。

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 部下の5人が退職したときは「自己否定された感じで、誰も信じられない心境になった」と傷ついたそうだが、部下のことは好きだったという。「好きだったからこそ厳しくなった。恋愛じゃないけど、好きな人に辛く当たり“なんで振り向いてくれないんだ”みたいな。そういう体質が僕にあるのかもしれない」。

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 その後、業績は回復したというが、残った部下とはどう接したのか。「それまでは飲み会も含めて、かなりベタベタのコミュニケーションをやっていたが、組織は崩壊した。なので、部下とは一定の距離を置き、ルールなどの線引きをした上で、人ではなく仕事のマネジメントをした。とにかく仕事でパフォーマンスが上がることだけに割り切ってやったら、逆にシンプルになって、結果うまくいった」と答えた。 

■いい上司になるためには?

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 リーダーにまつわるさまざまな本を出版している、建設会社総務部長の石川和男氏は、“毒上司”の特徴について次のように話す。

「度合いによっては、会社を潰す勢いの人もいる。プレーヤーとしては優秀なんだけど、管理職・上司として優秀かというと、やはり違うスキルだ。また、自分ができることは他の人もできると、同じようなレベルを強要してしまう。さらに、部下の失敗は部下のせいに、部下の成功は自分の手柄にしてしまう人もいる」

 では、“いい上司”とはどういうものなのか。石川氏は、時間の指示は急ではなく事前に行うこと、期限を設定する場合はシビアに行うことをあげる。「1つ目は、“はい集合”と言う時、みんな何もしていないわけではないので、急に中断させられるとチームの士気が下がってしまう。そこで、“10分後”“16時になったら”という時間を与えることによって、キリのいいところまでやれる。2つ目は、人は与えられた時間全てを使うというパーキンソンの法則がある。3時間と言ったら丸々使ってしまうので、1時間だと伝えて、その時にもうちょっとだと確認できれば、2時間と設定できる可能性もある。部下は完璧なものを作ろうとするので、“そうではない”と上司側から言ってあげないと、会社として残業を減らすことはできない。そういったことを地道に覚えて身につけていくことも重要だ」と述べた。

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 近畿大学情報学研究所所長の夏野剛氏は、上司の改善は難しいものの、気づきを与えることが大事だと言う。「うちでは部下からの360度評価を管理職には厳しくやっていて、そのリストを常に見ているが、下位5%の人は管理職に向いてない可能性が極めて高い。フィードバックをするので本人はショックを受けるが、それで改善できる人とできない人がいる」。

 また、360度評価の詳細については「戦略の提示、戦略の実行、部下の育成、の3つカテゴリーがあり、個性の強い人は3番目が低くなる傾向ある。しかし、1番目と2番目がしっかりしていれば全体的には点数は高くなる。3番目のカテゴリーだけ高い人もいるが、これはやさしい上司だ」と説明した。

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 一方で、プロデューサー、慶応大学特任准教授の若新雄純氏は部下の立場から注目。「上司になった人の性格を変えるのは難しく、それに愚痴っていても損するのは自分だ。逆に言えば、みんなが“あの上司気に入らない”と言っているのなら、自分だけ気に入られたら出世のチャンスだし、仕事もうまくいくと思う。面倒くさい上司を攻略しようと試みる若者が減っているんじゃないか」との見方を示した。(「ABEMA Prime」より)

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