働き方改革が叫ばれる中、“給料が減らない週休3日”を導入する企業が出始めている。導入により大きなメリットも生まれてきているという企業の担当者を取材した。
ファッション通販サイト『ZOZOTOWN』などを手がける、株式会社ZOZOは、2021年から新しい働き方を取り入れている。
「社員のライフスタイルに合わせた柔軟な働き方を検討した結果、週休3日制を導入するに至った」(ZOZO ホスピタリティ本部・花村和明氏、以下同)
週休3日を導入しているのは、ZOZOのなかでもホスピタリティ本部と呼ばれるカスタマーサポートを主な業務にしている部署で、約100人が働いている。
「カスタマーサポートでは顧客満足度の向上を実現するために、“社員自身の満足度”の向上が重要だと考え、週休3日か2日を半年に1回選ぶことができる仕組みを導入した。その結果、正社員のうち25~40%が週休3日を選択している」
しかし、週休3日を選ぶと給料は変わらないのだろうか?
「給料は減らない。週休3日を選択した場合は1日10時間働く。1日10時間×4日で週の稼働時間が40時間と、週休2日と変わらない稼働時間なので給料は減らない」
また、導入することで2つのメリットがあったという。
「社内の反応としては、仕事とプライベートのメリハリがついて、どちらも充実している人が増えたように感じる」
今回インタビューを受けてくれた花村氏自身も、制度開始以来、週休3日を選択している。
「私は基本的に金曜日を週休3日の休みに充てて、金土日を休むようにしている。土日は子どもたちと遊ぶ家族サービスの時間に充てている。一方で、週休3日で増えた休日は自分時間として、業務に必要な知識をインプットする時間に充てている」
「学習時間に充てられるのが大きい。仕事によっては専門性を高める必要があるので、1日中しっかり勉強できる。また、副業もできるので、自身のスキルアップにつながる時間に充てられるのが最大のメリットだ」
制度を導入して丸2年が経ち、従業員の満足度だけでなく、会社にも意外なメリットがあったという。
「残業時間が約63%削減したのでコストメリットもある。加えて従業員にメリハリを与えることができるので、チャレンジする価値がある取り組みだ」
週休3日制が一部の企業で導入されているが、その方法にはいくつかある。
・給料減額型…給与・労働時間ともに減る
・給料維持型…給与は変わらず、労働時間が減る
・総労働時間維持型…給与・労働時間とも変わらない
厚生労働省が企業の主な週休制について調べたところ、一番多いのは完全週休2日制で48.7%、完全週休2日制以上の企業は全体の8.6%だった。少しずつだが、完全週休2日制以上の企業は年々増えているようだ(厚生労働省「令和4年就労条件総合調査の概況」から)。
週休3日制の働き方について、ダイヤモンド・オンライン編集委員の神庭亮介氏は「企業側の生産性が上がり、従業員も柔軟な働き方ができるようになるのなら非常にいい」との見方を示す。
「ただし、あくまでも選択性というのがキモだ。仮に『給料減額型』の週休3日制が義務化されたら、体のいいリストラにもなりかねない。『総労働時間維持型』の場合、現状ですでに1日10時間以上働いていてサービス残業状態になっている人なら、今の労力のままスムーズに週休3日に移行できるのでメリットが大きいのでは」(神庭氏、以下同)
「週3日を休みではなくて、『別の場所であと3日働ける』と考える人もいる。副業で稼ぎたい人は、『A社の仕事を4日間で終わらせて、B社から3日間仕事を受注する』ということも可能だ。ただ、その場合に気をつけてほしいのは健康管理。儲かるからといって働きすぎると体を壊してしまうので、企業側も総労働時間が増えすぎないように注意する必要がある」
(『ABEMAヒルズ』より)
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