7日、日本銀行の植田和男総裁が 「年末から来年にかけて一段とチャレンジングになる」と発言し、円相場は一時141円台まで急騰した。アメリカ、中国の経済状況を踏まえ、2024年の経済・金融について経済アナリスト・森永康平氏に聞いた。
植田総裁の発言について森永氏は「まず、年内の金融緩和解除はないだろう」とし、「植田総裁は個人的な意見として『チャレンジングなことになる』と発言しただけだろう。しかし、『チャレンジング』という言葉を海外の投資家が『困難に挑戦する』=『金融緩和を解除する』と解釈し、行きすぎた反応を示してしまったようだ」と解説した。
続いて、大規模な金融緩和策の変更のタイミングについては「来年の春頃が規定路線であったが現状厳しい。日本は物価を加味した実質賃金が19カ月連続でマイナスとなっており、実感としての賃金が下がっている。そうなると、みんな節約するようになり、景気が悪くなる。さらに、日本の最大の貿易相手国である中国で消費者物価指数、生産者物価指数が共にマイナスとなり、“デフレに突っ込んでいる状態”だ。そんな中、本当に日銀は金融緩和策を解除できるのだろうか」と述べた。
一方、早期の利下げ期待が高まっているアメリカはどうか?
森永氏は「『来年の5月頃に利下げするのでは』という話もあったが、実は利下げを急ぐほどアメリカの景気は悪くない。失業率も3.7%と低く、就業者数もプラスを維持している」と説明。
さらに「直近2年ほど為替は日本とアメリカの金利差で決まっている。そのため来年の主なストーリーは、『日銀が金融緩和を止め、アメリカが利下げをするから金利差が閉じて円高ドル安になるのでは』という話であったが、金利差が縮んでいくペースが当初の予想よりも緩やかになる見通しだ」と分析した。
2024年の国内の賃金については「“格差”が広がる可能性がある。円安でかなり儲けている大企業などでは来年も強い賃上げが期待できるが、中小零細企業はむしろ円安による輸入価格・材料費の高騰の影響を受けて厳しいかもしれない」と解説した。
(『ABEMAヒルズ』より)
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