最近、SNSなどで目にするようになった「HSP」という心理学用語。Highly Sensitive Person=「とても繊細な人」という意味で、近年注目されている言葉だ。その特徴や向き合い方を専門家に聞いた。
「日本だと大体5人に1人くらいはいると思う。いい意味で言うとすごく繊細な人で、時には敏感になりすぎて生きづらさを感じることもある。そういった“性格”のことをHSPと呼んでいる」
「HSPは性格」と説明するのは品川メンタルクリニックの渡邊真也院長。発達障害などと混同されやすいHSPには、どのような特徴があるのか。
「繊細な故に、人間関係では傷つきやすくなったりする側面もある。例えば誰かが怒られているとまるで自分が怒られているように感じたり、大きな音や光などの刺激に敏感になりやすい」
生きづらさはあるものの病気ではなく、治療の対象になるものではないという。
その繊細さや感受性の高さによって相手の立場に立って行動できたり、映画や演劇や美術展といった芸術を人一倍楽しめたりするなどの特徴があるとされているHSP。一方で、HSPではない人に比べて適応障害やうつ病になりやすい傾向もあり、生活に支障が出る場合は治療が必要になる。
まずは、当事者や周りの人がその性格を知っておくことが、HSPと向き合うための一歩になると渡邊院長は話す。
「HSPは病気じゃないことを自分でも確認していただきたい。ストレスが溜まりそうなら一人で抱え込まず、誰かに相談したりいろいろな方法でリフレッシュすることが大切だ。病気ではなく性格だと思うことで、生活しやすくなることも多くあると思う。繊細過ぎて傷つくこともあるかもしれないが、いい部分の方が大きい。しっかりと自分の性格を知って、自分自身の繊細な性格を大事にしていただきたいなと思っている」
HSPについて、『ABEMAヒルズ』に出演した明星大学心理学部教授で、臨床心理士/公認心理師の藤井靖氏は「HSPの概念が広まることで発達障害や精神障害の可能性が見過ごされてしまい、対処や治療が遅れてしまう問題もある」として次のように注意を述べる。
「HSPは病気ではなく性格・個性の一つで、それ自体は治療対象ではないが、発達障害は生まれつきのものだし、精神疾患の症状は別のもの。本人が診断を受けていないなかで、『自分はHSPだ』と自己判断してしまうと適切な治療が受けられないことにつながる。HSPは診断を受けるものではないが、その症状が他の病気や障害に該当しないかは調べてもいいと思う。HSPだから…と決めつけすぎず、専門家の意見を聞いたり、周囲に相談するのは非常に大事なことだと思う。HSPか他の疾患・障害かで、自分が取れる対処も変わってくる」
(『ABEMAヒルズ』より)
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