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【映像】DV被害を受けた女性 内出血で腫れ上がった顔
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 子どもの利益のために世話や教育を行ったり、子の財産を管理する権限や義務である「親権」。今の法律は、離婚後どちらか片方の親が持つ単独親権。現在、法務省では両方が共に持つ“共同親権の導入”が議論されているが、待ったをかける意見広告が新聞に掲載されるなど賛否を呼んでいる。

【映像】DV被害を受けた女性 内出血で腫れ上がった顔

 DVがある場合の対処など懸念もある中、共同親権の導入は親子にとって最善の形なのか、根本の問題は何なのかを、『ABEMAPrime』で議論した。

■共同親権に「命の危険を感じている」

 「共同親権の議論が進んでいることに恐怖でしかない」と懸念を示す30代の女性。度重なる夫の暴力から逃れるため、4年前、当時1歳だった子どもを連れて家を出た。裁判で離婚が成立し、今は親権を持っているが、子どもと元夫を会わせることに神経をすり減らしている。

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「住所の秘匿をしているが、子どもが5歳で、通っている幼稚園や近所のバス停などいろいろしゃべってしまう。それを“お父さんに言っちゃ駄目だよ”という負担は子どもにはかけられない。面会交流のことを考えるだけで胃が痛くなるし、書面が届くだけで夜も眠れないくらいフラッシュバックする」

 DVの恐怖と関係がこじれてしまったこの状況で、共同親権は難しいと考えている。女性は「私たちは高裁まで争っていた紛争性の高い元夫婦だ。お互いの信頼はないし、こっちは命の危険を感じている。同意の上で共同親権を持ちたいと言っている状況だったら分かるけど、法律で一緒くたに強制させられてしまうのが怖い」と話した。

■DVの元夫が子を連れ別居し係争中「私が親権者じゃないということで児相も取り合ってくれない」

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 一方で、共同親権導入の必要性を感じているのが、30代のあかりさん。結婚当初から元夫の暴力の被害に遭い、顔が内出血で腫れ上がる、腕を骨折する、首を絞められて気絶するなど、命の危険を感じたこともあった。そして、元夫を親権者とする離婚届に無理やりサインさせられたという。「離婚後も私は軟禁状態でずっと暴力を受け続けていた。それが原因で、元夫は傷害罪で警察に逮捕された」。

 これを機に、あかりさんと子どもは元夫と別居。それにも関わらず、ある日、子どもとの面会に来た元夫がそのまま子どもを連れて行ってしまったのだ。「今でも子どもに会えていないし、どういう状況なのか、どこにいるのかさえも分からない。子どもに会って話をしたい。抱きしめたい」と涙ながらに訴える。

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 現在は、子どもの引き渡しをめぐって係争中。親権のあり方については、「うちは逮捕レベルの明らかなDVなので認められないと思うが、DVがない家庭は原則共同親権がいいと思う。単独親権だから奪い合いが起こり、一方的な連れ去りがされて、子どもが辛い思いをしている。私は親権者じゃないということで、児童相談所に電話をしても断られてしまう。子どもは私がDVを受けていたことを知っていて“怖くて言えなかった。誰にも相談できず1人で泣いていた”と言っていた。心のケアをしたいのに、相談さえさせてもらえなかった」と述べた。

■「共同」と「単独」 親権の最適解は

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 共同養育コンサルタントでりむすび代表のしばはし聡子氏は「お母さんのほうが子どもと離れて暮らしているという相談が増えている。具体的には、夫がお子さんを連れていくケースと、夫側の実家が強くて妻が出されてしまうケース、そして、夫のほうが経済的にも環境にも良いだろうと子どもを思って妻が自ら出るケース。ただ、その後会えなくなることはつゆ知らずというのが、よくご相談で出ている」と説明。

 また、「モラルハラスメントや精神的なDVがある、父母の関係がうまくいかず関わりたくない、という理由から子どもに会わせたくない相談もたくさんある。身体的暴力がない場合は、夫婦の関係と親子の関係は切り離して考えたほうがいいケースも往々にしてあるので、原則共同親権で、あかりさんのようなケースは単独親権を選べるほうがいいと思う」との考えを述べる。

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 一方、認定NPO法人「フローレンス」会長の駒崎弘樹氏は、共同親権に慎重な見方を示す。「例外を判断するのは裁判所になるが、家庭裁判所はものすごいマンパワー不足だ。残念ながら、一件一件DVがあるかどうかを判断できない状況にある。また、面会交流に関する事件の審理期間は、2011年の6.8カ月から、2020年には10.3カ月に伸びている。調査官も増えていない中で、丁寧に分けるのは難しい。しかも、DV・虐待があっても面会交流させられている状況があるのは、見分けられていないということだ。共同親権になって案件が激増した時に対応できるかというと、難しいと思う」と指摘した。

 民法第766条では、「父母が協議上の離婚をする時は、子の監護をすべき者、父又は母と子の面会、及びその他の交流、費用の分担、子の監護について、必要な事項はその協議で定める。この場合、子の利益を最も優先して考慮しなければならない」と定められているが、子どもが「会いたい」と言えばその利益に該当するのではないか。「“子どもの声をちゃんと聞こう”というのはそのとおりだと思うが、できる仕組みがないのがまず問題だ。その中で、“子どもが望んでいるから面会交流しなさい”と言う状況はよくない。危険性の高いケースでも会わせることになってしまう」との見方を示した。

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 NPO法人「あなたのいばしょ」理事長の大空幸星氏は「駒崎さんの危機感はよくわかるが、共同親権がないことで苦しんでいる子どももいるのは事実だ。僕は親といろいろあったけれども、両方に会いたい気持ちはあった。だから、原則共同親権で、あかりさんや本当にひどいケースを例外的に単独親権にする。そのように一歩進まないと、改善も生まれないのではないか」と投げかける。

 これに駒崎氏は「親権をいじるのではなく、面会交流を充実させるとか、家裁のマンパワーを増やすなどやらなければいけないことがたくさんある。それなのになぜ、“離婚しても別れられない”制度が先にくるのか」「あかりさんのケースは係争中だが、裁判所がマンパワーをかけて調査すれば、彼女に監護権があるということで引き渡される可能性は大きいと思う」と応じた。(「ABEMA Prime」より)

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