テンプルを直撃する飛びヒザから「左、右、左、右、左」と凶悪なヒジの5連打で相手は腰がガクリ。試合終了を確信しつつも、一向に試合を止める気配がないレフェリーに選手が「もう止めませんか?」と懇願する珍事。レフェリーが沈黙するワンテンポ遅い裁定にファンから「棒立ち」「ダウンしてるのに止めないw」とツッコミが相次ぐひと幕があった。
1月13日にタイ・バンコクで開催されたONE Championship「ONE Fight Night 18」。アルテム・ベラー(ロシア)とエンク・オルギル・バータルフー(モンゴル)の対戦は、2ラウンド終了間際にベラーが飛びヒザからヒジの5連打でバータルフーを撃破した。1ラウンドからほぼ組みでバータルフーに制圧されていたベラーが、ラウンド残り20秒で見せた怒涛のラッシュ。バータルフーが落ちているにもかかわらず試合を止めないレフェリーの判断に選手、ファンから疑問が相次いだ。
実力者がひしめくONEバンタム級MMA注目のカード。ランキング4位のベラーと、打たれ強さとワイルドな風貌でインパクトを残してきたモンゴル人ファイターのバータルフーとの対戦。
試合は1ラウンド、互いに決め手を欠く静かな立ち上がり。2ラウンドに入ると、バータルフーが組みの攻防で強引に引っこ抜いて再三テイクダウンを奪い、持ち前のパワーで柔術家のベラーをねじ伏せていく。
終始バータルフー優位に進んでいた試合だが、2ラウンド残り20秒、突然の打撃戦で形勢が大きく逆転する。ロープ際での打ち合い、先に仕掛けたバータルフーに対しベラーがアッパー、助走をつけての左ヒザを当てると、顔面にヒジやパンチの連打を叩き込む。凶悪なヒジの5連打に顎が上がったバータルフーは腰からガクリと崩れ落ちた。
本来であれば、ここでストップと思われる場面。しかし、レフェリーは試合を止めないことで有名なハーブ・ディーンだ。すでに「相手が落ちた」と確信したベラーは手を広げて「もう止めましょうよ? もういいでしょ?」と猛アピール。ハーブ・ディーンの顔色をうかがうも、レフェリーは仁王立ちで傍観態勢。仕方なくベラーが追撃を加えると、ここでようやく割って入って試合がストップされた。
レフェリーはUFCなどでお馴染みの名物レフェリーであるハーブ・ディーン。毎回選手の戦意喪失をじっくり見極めることが多く「止めるのが遅い」との指摘も多いレフェリーだが、やはりファンからは「ハーブ棒立ちw」「ハーブよ」「見入っていたな…」とツッコミ多数。
スローリプレイでも、ベラーのランニングからの左ヒザはバータルフーのテンプルを直撃しており、さらにその後、左ヒジ、右ヒジ、左ヒジと凶暴なヒジが合計5発も命中するクリティカルなシーン。腰が落ちた時点ですでに勝負はついていたように見えるが…貰う必要のない連打にファンからは「ダウンしても止めないのは笑える」との声も聞こえたが、そこはタフさが売りのバータルフー。かなり脳が揺れダメージ大に見えつつも、試合後はケロッとした表情と笑顔で勝者を称えていた。