能登半島地震をめぐって、SNS上では「偽救助要請」などのデマ投稿が広がっている。
【映像】東日本大震災の津波映像を使ったデマ投稿
例えば、「息子が挟まって動けない。私の力では動きません。頼みの綱がXしかない、助けて」とのSNS投稿。住所も記載されていたが、そこに住んでいた40代女性は息子がおらず、投稿もしていなかった。しかし、警察からの問い合わせが来るなど、緊急時の業務を妨害する事態に発展した。
デマに詳しい国際大学グローバル・コミュニケーション・センターの山口真一准教授は、能登半島地震では、今まで以上に多くのデマが流れていて、注意が必要だと呼びかける。
「利他的な感情を刺激してくる。“助けるために拡散しなきゃ”が動機としてある。そういったものが拡散されることで、実際の救助活動で支障が出る」(山口真一准教授)
しかし、真偽を見極めるのは容易ではない。山口准教授は「真偽不明としか言いようがないもの」を一切拡散しないというが、他方で「全員が全く拡散しなかったら、本当に困っている人の助けには絶対にならない」とも指摘する。
今回の地震では、東日本大震災の津波映像を使ったデマ投稿も多かった。原発事故の発生や、放射性物質を含む水が大量漏えいするといった投稿が散見されるほか、陰謀論や「人工地震」のような根拠のない情報を流し、不安をあおる行為があとをたたない。山口准教授は、社会全体が不安になるとデマは拡散されやすいとしたうえで、「再生回数を稼ぐために震災が利用されている」とも指摘する。
「旧Twitter(現X)のユーザーがインプレッション数、つまり人々から多く投稿を見られると、それに応じてお金を稼ぐことができるようになった。人々の注目をパッと集められるようなコンテンツが、直接的にお金を生み出すパワーを持っているという考え方。『アテンションエコノミー』と言う」(山口真一准教授)
デマ情報の中には、テレビ局のロゴマークを無断使用した映像もあった。また、AI(人工知能)を使った精巧なフェイクニュースも、今後増える可能性がある。山口准教授は「フェイクニュースは、事実の6倍のスピードで拡散していく」と説明する。では、見分けるにはどうすればいいのか。
「脊髄反射で拡散するのではなく、その投稿に対して、他の人は何か言っていないか、SNS検索くらいのことはやってほしい。私は『自分が拡散したくなった時だけ、やってください』と言っている。リポストしたくなった、シェアしたくなった、直接の会話で言いたくなった。そういう時だけでも、その情報を拡散する前に、一呼吸を置く時間を設けて、少し調べる。そのステップを挟むだけでぜんぜん違う」(山口真一准教授)
この話題についてお笑い芸人のみなみかわは、芸人仲間から回ってきた震災関連の投稿を「脊髄反射でリツイート(リポスト)してしまった」と反省する。直後にデマだと指摘されて、すぐ取り消したというが「助けてくださいと言われたら、何かしないといけないと思ってリツイートするという感情を経験した。ちょっと気をつけないといけないなと思った」とした。
元週刊SPA!副編集長の田辺健二氏は、Xでユーザーが収益化できるようになって以降、「お金儲けのために、とにかく目立とうとする投稿が増えている」と話す。AIによってデマ投稿も巧妙化しつつあり、「一番迷惑な行為をしている」と非難した。
(『ABEMA的ニュースショー』より)
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