日航機と海保機の衝突事故での“奇跡の脱出”について、元航空管制官が解説した。
【映像】衝突炎上のJAL機 乗客が撮影した緊迫の映像
2日羽田空港で発生した日本航空の機体と海上保安庁の機体の衝突事故。機体は瞬く間に炎に包まれたが、乗務員などの冷静な対処によって乗客・乗員379人全員が無事に脱出し、海外メディアでは「全員生き残ったのは奇跡」「模範的な避難だった」と報じられた。
これを元成田空港主任航空管制官のタワーマン氏は「ひとことで言うなら、2次被害が全くなかったということが、何よりも素晴らしいこと」と評価。突然の緊急事態に冷静に対応できたことについて「もう褒めることしかできないようないい対応だった。特に客室乗務員の方。いわゆる避難訓練なんてレベルじゃなく、かなり鍛錬の形が究極の形で出てきて、それがうまくはまらないとああいった脱出はできない」とした。
また、それは客室乗務員に限った話ではないという。タワーマン氏は「全日空のターミナルビルに近い滑走路を使っていた。そこで日本航空の事故が起きた。通常であれば他社が手助けすることは起こり得ない。何か違うミスが起きてしまった場合、それはそれで新たな問題が生まれる。にもかかわらず今回、他の会社がお手伝いされた。ルールに定まっているというより、その瞬間やらなきゃいけないことを考えて、助けることを最優先ということをやられた」と見方を示した。
さらに管制塔については、「やらなければいけないことは、真っ先に消防車両を出動させること」だという。「緊急機の対応で、管制官はその飛行機だけのことに集中できない。他の滑走路では離着陸が行われている。すでにターミナルビルから走り始めて管制官の管制区域に飛行機がいたりする。そうなると、次の飛行機をターミナルビルに戻したり、1つずつ航空機に聞いて、この後どうするかを確認しなければいけない」。次の再会はいつなのかといった情報も収集しなければいけないという。その際、突然消防車両からの「私たちここにいますよ。今から急行して消防に移りたいと思います」といった無線に対する許可も「管制官が行わなければいけない」と説明した。
「ああいったことが起きた後、飛んでいる飛行機は通常通りこなさなきゃいけないというのを、しっかり担保して冷静にやる、これは本当に至難の業。今回見事2次被害が起こらず、その日の数時間後には一部運用を再開された。そこまで含めて、事後対応は、その対応の部分だけ切り取ってみれば、さすが日本。大きな出来事として語り継がれてもいい」(元成田空港主任航空管制官・タワーマン氏)
この件について国際政治学者の舛添要一氏は、「最初に火が上がった瞬間からずっと見ていたが、まさかこんなにも大きな事故だとは思わなかった。それで助かったという情報が出てくるまで本当にハラハラして見ていた。だが、世界中の報道を見ていても“奇跡だ“とほめられていた」と意見を述べた。
タワーマン氏は見解として「事故の原因は今後検証が必要だが、2次被害を出さなかった事はまさに“ワンエアポート”になって対応にあたった成果」と語っている。
(『ABEMA的ニュースショー』より)
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