<大相撲一月場所>◇中日◇21日◇東京・両国国技館
全勝対決で互いに勝利への執念がうかがえた投げの打ち合い。相手の小手投げに耐え、顔面から落ちて額から出血。全勝を死守したかに思われたが、物言いの末に、髷が先についており軍配差し違えで今場所初黒星。執念およばず無念の黒星となったが、直後に敗れた力士が土俵上で見せた心こもった所作がファンの心を打ち、称賛の声が相次ぐ一幕があった。
三段目三枚目・若隆元(荒汐)が三段目七枚目・須崎(大嶽)を小手投げで下して4連勝を飾った一番は、激しい投げの打ち合いの末、両者もつれて土俵に前のめりで落下。長い物言い協議の末に、軍配差し違えで若隆元が全勝を守り、須崎が今場所初黒星を喫した。
鋭い立ち合いで左下手を取った若隆元に対して、須崎は右をおっつけるようにして相手の左を封じると、さらに左腕を若隆元の肩口へ伸ばして牽制。しかし若隆元が、その左腕をぐいっと手繰ってバランスを崩すと、須崎は素早く体勢を立て直して応戦。息詰まる攻防が繰り広げられた。
その後、押し合い、引き合いで土俵上を行ったり来たりした須崎だが、土俵中央で右腕を抱えた若隆元がやや豪快に小手投げを打つと、右まわしに手をかけた須崎も投げを打って、両者が土俵上にもつれた。
軍配は東の須崎に上がったが、即座に物言いが。1分以上続いた協議の最中、土俵下に立って落ち着かない様子の須崎の額からは出血が。まもなく2分が経過しようかというところで協議が終わると「行司軍配は東方力士が有利と見てあげましたが、協議した結果、東方力士の髷が先についており、軍配差し違えで西方力士の勝ちといたします」との説明。
4つ目の白星が手からするり…全勝を逃し無念の須崎が土俵に上がり、深々と丁寧な一礼を見せるとファンからは「負けたけど須崎の礼が良くて好感を持つ」「礼儀正しかったね」と好感と称賛の声が。一方では「髷かぁ」「顔の傷は勲章」「擦りむいたあげく差し違えで」などの反応も寄せられた。(ABEMA/大相撲チャンネル)