能登半島地震から3週間。突然襲ってくる災害にどう対応するのか、Xに投稿された被災者の漫画が話題を呼んでいる。
「我が家の被害は棚のものが落ちた程度でした。津波警報が発令されたため、高台に避難しました」
この漫画を作成した、石川県在住のイラストレーター、浜井れんこんさんに当時の話を聞いた。
「人を助ける仕事をしている」という夫と2人の娘、そして夫の両親と暮らしている浜井さん。この日は夫が夜勤で不在、友達と家で遊ぶ約束をしていた。
その最中に起きた最大震度7の大地震。
「すぐ近くにテーブルはあったが、入ることは頭に浮かばなかった。強い揺れが来たので3人で肩を組み、子どもを腕の下に隠すような形で守ろうとした」
浜井さんの家の損傷はなく、被害は食器棚の皿が割れる程度だったが、テレビに映ったのは津波警報と「逃げて」の文字。浜井さんは避難を決意する。
「焦ったが、非常用持ち出し袋を持って車を海から遠い方に走らせた。『逃げてください』というアナウンスと地震速報がずっと流れ、余震もあったのですごく怖かった」
その後、やっとの思いで避難所に到着し、靴を脱ぐと足にガラスの欠片が刺さっていた。「石が入っているな」と思い違いをするほど焦って逃げてきたということだ。浜井さんは非常用持ち出し袋のキズ薬で手当てを行った。
その後、避難所で一夜を明かし翌朝には無事家路につくことができたという。
災害はいつ起こるがわからない。浜井さんは日頃から準備が大切だと語る。
「我が家は夫の仕事の関係もあり、防災意識から非常用持ち出し袋を備えていたことが功を奏した。だが、それだけ意識は高くても油断があった。実は賞味期限が切れた水を一度出したまま補充を忘れていたので、肝心の水がなかった」
このマンガについて、明星大学心理学部教授で臨床心理士/公認心理師の藤井靖氏は「危機的な事態が迫った時に冷静に判断して動ける人は全体の10%程度しかいないと言われる。多くの人はいろいろな考えが溢れてしまって整理できなくなり、結果として思考停止のような状態になってしまう。そのため、このような漫画などを通して経験者のエピソードを聞いて、『自分だったらどうする?』『まず何をする?』とイメージ・リハーサルをしておくことで思考停止への対策となり、防災につながる」と解説した。
(『ABEMAヒルズ』より)
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