上川外務大臣に対し「おばさん」「美しい方とは言わない」と発言した、自民党の麻生副総裁。仕事ぶりを評価し、讃える中で出た表現だが、「女性蔑視」「ルッキズム」など数多くの批判の声が殺到。一方で、上川大臣は「どのような声もありがたく受け止めている」など受け流すような対応に終始したため、これに女性議員から批判があがることとなった。
「上川大臣が受け流したことを大人の対応と持ち上げる一部メディア。こんな言説・風潮が女性蔑視を温存していることに気づくべき」(辻元清美参院議員)
「“大人の対応”ではないでしょう。毅然と“おかしい”と指摘することこそ大人の対応です」(蓮舫参院議員)
2日、麻生氏は発言を撤回したが、上川大臣は反論すべきだったのか。『ABEMA Prime』で議論した。
上川大臣が「受け止める」と話したのは、1月30日の記者会見。政治家コンサルタントの鈴鹿久美子氏は「どういう状況・前後関係で麻生さんが言ったか判断がつかない中で、バンとマイクを突きつけられた時の答え方としては、内容はともかくさすがだ。麻生さんをどう思うではなく、対象を広げて答えるというテクニックがある。上川さんはミスのない方だと思ってきたが、さすがやり方としてはうまかった」と評価。
2月2日、国会質疑で「なぜ抗議しないのか?」と問われた上川大臣は、「女性、平和、安全保障(WPS)、この新しい動きを主流化すべく、根づかせるための取り組みに全力を注いでいるところだ。世の中に様々な意見・考え方があると承知している。しかし、使命感を持って一意専心、緒方貞子さんのように脇目も振らず着実に努力を重ねていく考えだ。田島議員(質問者)、ぜひWPS一緒にやりましょう」と答弁している。
これに鈴鹿氏は、「“田島議員と一緒にやっていきたい”という言葉が、彼女の精一杯のニュアンスだったように思う。どこか良いところがないかなと答弁を何回も読み返したが、ここだったのかなと。しかし、読み込む必要があるということは、わかりにくいということだ。岸田総理の“適切に判断する”という言葉と同じぐらい抽象的。政治家には説明責任があるので、もっとピンポイントにおっしゃったほうがいい」と指摘した。
上川大臣は当選7回、総務大臣や法務大臣、自民党幹事長代理など要職を歴任。ANN世論調査(1月20・21日)では、次期総理候補として、女性議員では高市早苗氏(7%)の次(5%)に名前があがっている。
一方で、ネット掲示板「2ちゃんねる」創設者のひろゆき氏は「総裁選には今回のことはマイナスだと思う」との見方を示す。「“自分たちの代表としてこの人を送り込みたい”と自民党員が思えば投票するが、“おじさんにコントロールされている人を代表にしたくないよね”という考えもあると思う。女性のほうが女性に厳しかったりするし、自民党保守派の人は“やっぱり男性政治家が総理大臣のほうがいいよね”と思いがちなので、今回のことで女性票も失うのではないか」。
さらに、「森元総理が“神の国発言”をしたり、麻生副総裁も気の利いたことを言おうとしてギリギリのところでラインを踏み外すが、小泉元総理は踏み外さなかった。気の利いたことを言うのはトップの政治家に必要な能力で、アメリカの大統領もジョークを言うのはルールのようにやっている。それができないと上川さんが思われてしまうと、神輿として担ぐような親近感を持てないのではないか。ジョークじゃなくても、ちょっとした切り返しができるような女性が出てこないと、女性総理は難しいと思う」との考えを述べた。
鈴鹿氏は「(今回の麻生発言に対し上川大臣が)“女性蔑視だ”とまで言ってしまうと、それはそれで狭い視野に見えてしまう。それよりも“言うことはわかりますが時代も違うことですし、一緒に先に進もうじゃないですか。麻生さん”などと言えると、少し上位に立てたと思う。もったいないが、“チャンス”と捉えることができなかった。とにかく無難に答えよう、麻生さんを敵に回すのは嫌だ、岸田さんもちょっとにっこりしてくれる、自分の名前も世の中に出回った、と。これを契機にぜひトレーニングしていただけたら」とした。(『ABEMA Prime』より)
■Pick Up
・「ABEMA NEWSチャンネル」がアジアで評価された理由
・ネットニュース界で話題「ABEMA NEWSチャンネル」番組制作の裏側