若き絶対王者に、限界など存在しない!?日本全国を8つのブロックに分けた団体戦で行われる「ABEMA地域対抗戦 inspired by 羽生善治」予選Bリーグ1回戦・第1試合、中部 対 関西Bが2月3日に放送された。チーム中部の藤井聡太竜王・名人(王位、叡王、王座、棋王、王将、棋聖、21)は、第2局に登場すると、圧巻の5連投5連勝。八面六臂の働きを見せ、チームを勝利へと導いた。第6局終局後にはさすがに疲れの表情も見られたが、「まだ指せるのかなという気もします」。底なしの体力&知力にファンも驚きを隠せない様子だった。
【映像】更なる続投を問われ爆笑する藤井竜王・名人(7分10秒頃~)
若き絶対王者のスタミナは底知らずだった。中部のエース藤井竜王・名人は、先発棋士としてチーム0勝1敗で迎えた第2局に登場。勝利した場合は連投することが定められているため、「自分の出番は回ってこないことを願っていましたが」とこの日は観戦をメインに楽しむつもりだったようだ。
プレーヤーとして第2局に臨むと、第1局に勝利した関西Bの古森悠太五段(28)に押されつつも、見事な追い上げ力を発揮し熱戦を138手で制した。続く第3局は斎藤慎太郎八段(30)との対戦に。順位戦A級所属、タイトル経験者との一戦は、チーム中部の豊島将之九段(33)と言えども「ほとんど見たことがない」という力戦へと展開した。ここでも藤井竜王・名人は切れ味の鋭い▲8六角の一手から優位を築くと一気に勝利へ。構想力の問われる将棋を95手で制してみせた。
持ち時間各9時間の2日制のタイトル戦からフィッシャールールでのABEMAトーナメントでも目覚ましい結果を残し続けている絶対王者ながら、連投経験は少なく「そろそろ疲れてきました」。関西Bも強敵が名を連ねているとあり、第4局の大石直嗣七段(34)に押される展開となった。それでも終盤戦で抜け出した藤井竜王・名人が二転三転の難局で勝利を奪った。
自身にとって4局目となる第5局を前に「知らないゾーンです」と笑わずにはいられない様子。未知の領域となる4局目の第5局では大橋貴洸七段(31)に、5局目の第6局では斎藤八段との再戦を制し、瞬く間に5連勝。戦いの中で調子を引き上げ、もう誰にも止められないとばかりに勝ち星を一気に積み上げてチームを勝利に導いた。
本大会はチームメンバーと力を合わせて戦う「団体戦」のはずが、藤井竜王・名人はその概念をも破壊するかのごとく八面六臂のすさまじい働きを披露。終局後には「普段なかなか5局続けて対局することがないので、『疲れた』というのが一番の感想です」と素直な思いを吐露する場面もあった。司会の竹部さゆり女流四段から「仮の話ですが、指すとしたらあと何局くらいいけますか?」と振られると、「そんな!厳しい質問…(笑)」と爆笑しつつも「疲れてはいるんですけど気分も上がってきて、今の感覚だとまだ指せるのかなという気もします」と“ランナーズハイ”のような感覚にあることも語っていた。
フィジカル、メンタルともに想像を超えるタフさを見せつけた藤井竜王・名人の様子に、ファンはただただ圧倒されるばかり。「まだ指せるの!?」「ヤバい人w」「まだ行けるんかいw」「いけんのかいw」「すげえw」「指せるんかいw」とコメント欄は驚きの声で埋め尽くされていた。
◆ABEMA地域対抗戦 inspired by 羽生善治 全国を8ブロックに分けた「地域チーム」によって競う団体戦。試合には監督とチームから選ばれた出場登録棋士の4人の計5人が参加可能。試合は5本先取の九番勝負で行われ、対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールール。試合は1試合以上出場する「先発棋士」と、チームが3敗してから途中交代できる「控え棋士」に分かれ、勝った棋士は次局にも出場する。先発棋士は1人目から順に3人目まで出場し、また1人目に戻る。途中交代し試合を離れた棋士の再出場は不可。大会は2つの予選リーグに4チームずつ分かれ、変則トーナメントで2勝すると本戦進出。ベスト4となる本戦は通常のトーナメント戦。
(ABEMA/将棋チャンネルより)