2年ぶりの積雪となった東京。都心では多くの帰宅困難者が出た一方、会社から「帰宅命令」を受け家路についた人も。
しかし、「帰宅命令」を受け早退した場合の「給与」はどうなるのか?
社会保険労務士の稲富光平氏は「大雪や台風の影響で公共交通機関の乱れによる帰宅困難が予想され、会社が従業員に帰宅命令を出す場合、会社都合、今回の場合は『安全確保のためによる休業』として労働基準法第26条の休業手当の支払い義務を負う」と説明した。
従業員が働ける状態で会社からの帰宅命令が出されると休業手当の対象になるのだ。しかし、この帰宅の判断を従業員に委ねる形になると話は変わると稲富氏は指摘。
「『雪で公共交通機関の乱れが気になる人は自己判断で帰宅してもいいですよ』といった言い方の場合、労働者は働こうと思えば働くことができる状況だ。このため、自己判断で早く帰った場合、早退扱いになる」
自己判断のため会社側は給与を支払う義務はなくなるが1日分の給与を支払う企業も存在しているという。身の安全と給与の問題。企業の従業員に対する安全配慮意識が高まることで、より良い労使関係に繋がる。
労働基準法はアルバイトにも適用されるだろうか?
稲富氏は「正社員、アルバイトにかかわらず、労働基準法は適用される。例えば13時〜19時シフトのアルバイトを15時に帰宅させた場合、15時から19時の時間休業を命じたこととなり休業手当の支払い義務生じる」と解説。
また、法律で定められている「企業側の労働者に対する安全配慮義務」については「使用者は労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう必要な配慮をするものとする。大雪などの場合、帰宅困難や路面凍結による転倒(ケガ)など危険性は高まるため、企業側は安全配慮義務の観点から従業員が安全に帰宅し、健康を害さないよう、業務命令として帰宅を命じることは、従業員やその家族に安心感を与えることにも繋がるため、給与の発生の有無だけで対応を決めないことが大切」と説明した。
企業に求められる天候不良時の対応について、ダイヤモンド・オンライン編集委員の神庭亮介氏は「警報などで早い段階で天候不良が予想できるケースも多いので、企業はなるべく早くジャッジして『帰ってください』とはっきり伝えるべきだ。『気になる人は帰ってもいいですよ』と社員の判断に委ねると、給料への影響を懸念する人や、残って仕事を続ける上司に気兼ねする人が出てくるかもしれない。そもそも、出社しなくても対応できる業務であればリモートで対応できるような形を整えることも大切だ」と述べた。
(『ABEMAヒルズ』より)
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