【写真・画像】大雪で飲食店予約「ドタキャン」 被害1兆6000億円…法的措置は可能? 「ネガティブな印象がつくので言いにくい」悩む店主、損害防ぐ対策は 1枚目
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 5日、東京都心は大雪に見舞われ、2022年以来、2年ぶりに1センチ以上の積雪を観測。都内では転倒などにより130人以上が搬送された。また、雪のピークと帰宅ラッシュが重なり、交通の乱れが予想されたことで、メディアでも早めの帰宅が呼びかけられた。

 しかし、人々が家路を急ぐなか、飲食店のSNSから「本日は最悪なドタキャンです。大雪の予報で交通機関が乱れているのでキャンセルさせてくださいと電話がありました。通常、雪の日はやむを得ないのでキャンセルをお受けしていますが、今日に限って奥のテーブルを10名で貸切でした。貸切の方にドタキャンされるとかなり厳しいです…雪のため…と言われてしまうと何も言えませんからね」(「炭火焼鳥 Dining ばーど」Facebookから・一部抜粋)との声も上がった。

 この飲食店では団体客10人、焼き鳥80本分の予約がキャンセルに。同様に大雪でドタキャンされた飲食店は少なくない。無断キャンセルの損害を防ぐ対策とは。『ABEMA Prime』では飲食店の店主と弁護士を招き、対応を考えた。

関東大雪 飲食店“ドタキャン 被害” の実態

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 「席が限られるのでドタキャンは痛い」と明かすのは、東京・神田の海鮮系『居酒屋ちぇけ』店主の豊田千木良氏だ。

同氏は大雪の影響を「通常営業を心がけていたが、交通機関の乱れもあるので、予測して仕入れを考え、お客さんが来店できないことを見越して準備した。

 ただ、ウチは常連さんや近所のお客さんが応援しに来てくれるので、あえて通常の仕入れで対応した」と説明した。

 大雪情報はニュースで確認し、魚を仕入れている築地の関係者と「月曜日は荒れるぞ」と話をしつつ、対策に頭を悩ませた。しかし、大雪に限らず「新型コロナウィルスやインフルエンザで、4〜6名の団体が一気にキャンセルになることが多かった」と、過去のキャンセル事例にも言及。

 『居酒屋ちぇけ』では、キャンセル料を原則取らない方針だが、その理由について「ウチは個人経営で、お通しが刺し盛りという特殊なお店。1人前で10〜13種類ほど盛っていく。キャンセル時にSNSで “お席空きました。良かったら”と発信すれば、来てくれるお客さんはいらっしゃるのでキャンセル料を重視していない。そこを厳しくするより“またよかったら来てくださいね”と流す」と述べた。

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 では、キャンセルに法的措置を取ることは可能なのか。

 弁護士・社会保険労務士で『フードロイヤーズ』代表の石﨑冬貴氏は「契約は口頭でも成立する。飲食店の予約もこれに当てはまり、例えば“夜7時から予約をする”と言って、お店側が了承すれば、この時点で契約成立=キャンセル料を取って良いことになる。問題はどこまで本気でやるか。店側はキャンセル料を回収できても、次また来てもらえるかわからない。お客さんとの法的紛争はできるだけ避けたいのが本音だろう」との見方を示した。

 石﨑弁護士によるとキャンセルが不可抗力の場合、支払い義務はなく、今回のような“警報レベルの大雪”が該当するかどうかの法的な基準もない。「実はご家族が不幸に見舞われて…など個別の事情があるなかで店側も全員に対して請求することはない。一方、悪質な無断キャンセルもある」と一律に請求することが困難な実態や、損害額・逸失利益の算定が難しい点も指摘した。

直前キャンセル 被害額は年間1兆6000億円に 

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 経産省「No Show(飲食店における無断キャンセル)対策レポート」(2018年)によると、無断キャンセルは予約の約1%に当たり、被害額は年間2000億円。1〜2日前のキャンセルは同約6%に達し、被害額も同1兆6000億円と膨れあがる。

 石﨑弁護士はレポートについて「飲食業界、法律の専門家、弁護士界でもか
なりインパクトがあった。コロナ禍が落ち着き、キャンセル問題対策は、デポ
ジットを取るか含めて盛んに議論されている」と言及。

 そのうえで、キャンセルの実態を「業態で大きく違ってくる。価格帯が低い居酒屋はキャンセルが起きやすいけれど回転が早いので客は入りやすい。高級店はキャンセルが出にくく、出た場合でも取り合いになる。例えば、普段予約でいっぱいの人気店は、空きがあるとすぐ予約が埋まりロスになりにくい。一方で、中間層の店はダメージを受けやすく、
キャンセルがあると大きな損害が出る傾向だ」と説明した。

有効な損害防止対策は

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 説明を受けて、時事YouTuber・元NHKディレクターのたかまつなな氏は「私はイギリスで一昨年、2拠点生活をしていた。海外のレストランはクレジットカードを事前登録することが多い。キャンセルポリシーも明確で、自動でお金が引き落とされる。日本でもホテルなどは明確だ。なぜ飲食業界には広がらないのか」と疑問を投げかけた。

 ただ、豊田氏が「SNSのダイレクトメッセージを通じた予約と電話で半々ぐらい。直前・当日の予約になると、やはり電話が一番多い」と実情を説明したとおり、クレジット事前登録のハードルは高い。

 石﨑弁護士は「法的にどうかと、実際に請求すべきかは別問題だが、機械的にキャンセル料を取る方法は一つの対策としてあり得る」と述べた。一方で「絶対的な解決策はない。物理的にキャンセルを防ぐことはできないので、仕組みで解決するならデポジットを取るなどの対策になる。ただ、対策するほど予約しにくくなり、客にとっては予約のハードルが上がってしまう」との見方を示した。

 豊田氏は「大手チェーンでない個人の店は、SNSを見て来てくださる方が多い。“またドタキャンされた” “無断キャンセルが…” と言うと、ネガティブな印象がつくので言いにくい」と本音を明かした。

(『ABEMA Prime』より)

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