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【映像】“若年性パーキンソン病”のミクさん(35)
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 手足が震える、身体が勝手に大きく動く、動作が遅くなるなど、脳の異常のために体に障害が現れる「パーキンソン病」。薬を飲まなければ体が強張り動かなくなることもある指定難病だ。直接命に関わる病気ではなく、薬である程度症状を制御できるが、思いのままに身体を動かすことは難しい。

【映像】“若年性パーキンソン病”のミクさん(35)

 65歳以上の100人に約1人が発症するとされ、患者の多くは高齢者だが、40歳以下で発症する“若年性パーキンソン病”と呼ばれるものもある。そこで直面する壁や不安について、『ABEMA Prime』で当事者2人と専門家に話を聞いた。

■「昨日できたことが今日できなくなる」 妊娠・出産への期待も

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 小学4年生の9歳の時に発症したミクさん(35)。よく転ぶ、左足の靴が極端にすり減るなどし、「父に“歩き方がおかしいよ”と指摘されたのが最初だった」という。当初は原因不明と言われたが、中学3年生で正式に診断。高校は体調不良や入院で出席日数が足りず、1年生で中退。就職はできず、引きこもりがちに。

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 身体が勝手に動いてしまう症状は、入浴やトイレ、着替え、書字、レジでの会計など生活に大きな支障をきたし、「ジスキネジア(不随意運動)という症状で、ぶつけたりするので足は傷だらけ」。症状が大きく出ない時もあり、緊張やストレスなどで日によって違いが出るという。

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 3年前に婚活パーティーで出会った男性と結婚し、母親と夫の3人で生活している。食事や歯磨きなど身の回りのことはなんとか1人でできるが、家事のほとんどは家族が担っている。「昨日できたことが今日できなくなっていることが今まであったので、毎日怖い」と不安を口にする。

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 ミクさんは去年、胸に埋め込んだ装置から脳に差し込まれた電極に刺激を与えて症状を防ごうとする手術を受けた。体の強張りは改善されたが、体が勝手に動く症状が強くなってしまったという。

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 不安の中、夫婦が望んでいることがある。夫は「余命とか怖い部分はあったが、出会った時から子どもがほしいと言っていた。私としても、いてくれれば楽しく家族になれるのかな、と期待している部分もある」と明かす。

 しかし、妊娠したら薬は使用できず、出産後も抱っこができない、寝かしつけができないなど、他の母親に比べて子どもと深く関われない葛藤が出てくる可能性も。ミクさんは「昔から(同じ症状で)仲の良い子がいる。お子さんもいるので、受診日が同じ時にいろいろとアドバイスをもらっている」ということだ。

■父親になった後に発症「家族のことが一番心配」

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 2児の子育て中に36歳で発症した石田仁さん(41)。「はじめに気づいたのは、小さい頃からやっていた野球の動きがうまくできなくなってきたこと。おかしいなと思っていたら、だんだん症状が悪化していく。医療関係に勤めていて、パーキンソン病に近いという認識もあり、持病で通っている病院に相談して診断がついた」と話す。

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 2018年に手の震え等が徐々に進行すると、翌年には日常で家族の介助が必要な状態に。理学療法士から助手になったことで収入も減った。「手術前は本当に生きるのがつらかった。一つひとつの動きもそうだし、みんなが5くらいでできることが、自分は10とか20の力がいる。とにかく疲れる、きつい、動きたくないというのがあった」。

 その後、2022年に手術を受け、症状は劇的に改善したが、すべてにおいて時間がかかっているという。また震え以外にも、「考えがまとまらなかったり、うまく喋れなかったりして、相手とのコミュニケーションエラーが出る。それを修正するのも大変で、もういいやとなったりする」と、見えない症状があるそうだ。

 石田さんの心配は家族のこと。「病気は徐々に進行していくので、手術後のこの1年半くらいも悪くなっている感じがある。家族のことがやはり一番心配だ。子どもといろいろなことを一緒にやりたいし、世の中にいろいろな人がいることを教えて、肌で感じてもらいたいという思いがある」と語った。

■治療でジスキネジアが強く現れるケースも 今後期待できる治療は

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 順天堂大学医学部附属順天堂医院脳神経内科准教授の大山彦光氏は、若年性パーキンソン病の特徴について、「震えや筋肉が硬くなるといった典型な症状ではなく、歩き方など“なんかおかしい”といった状態から始まることが多い。若年性だと進行は遅い傾向があるが、治療をしていくと、ミクさんのようにジスキネジアが強く出てくるケースが多いと言われている」と説明。

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 パーキンソン病の原因は、脳内の神経伝達物質「ドパミン」の減少によるものとみられ、「遺伝」「環境」「加齢」の3つが発病に関わる要因とされている。

 大山氏は「現在行われているのは、あくまで対症療法だ。パーキンソン病の原因がわかっていないので、完治する治療法はまだ出てきていない」とコメント。一方で、薬を組み合わせることで、ジスキネジアを改善することはできるという。

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 ミクさんと石田さんが受けた手術は、脳深部刺激療法(DBS)と言われるもの。「脳のペースメーカーみたいな治療で、持続的に脳に刺激を与えて安定して効果を出すことができる。ミクさんは今飲んでいる薬をできるだけ刺激に置換していくことができれば、もう少しジスキネジアは改善できると思う」との見方を示した。

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 大山氏によると、今後期待できるのが移植治療だという。「さまざまな研究がされているが、直近では京都大学でiPS細胞の移植療法の臨床研究が行われている。おそらく今年、結果が発表されるのではないか。ドパミン細胞になるiPS細胞を、脳に入れるという手術・治療法。足りないドパミンを補充する細胞を移植するので、根本的なところがある程度改善することが期待される」と述べた。

■声がけが必要かは「人によってまちまち」

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 パーキンソン病の当事者は外出時、好奇の目にさらされることもある。周囲に望む接し方として、ミクさんは「見られていたり、声をかけられたりすると緊張して症状が強くなってしまうので、あまり見ずにそっとしておいてほしい」と話す。

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 石田さんは「私の場合は、どちらかというと声をかけてほしい。しかし、こちらが“大丈夫”と言っているのにしてくれる方もいらっしゃる。本当にありがたいのだが、そういう時は逆に“見られている”という感じがわかって一層症状が出てしまったりする。人によってまちまちで、この人にはいいけれど、この人にはよくないということもある」とした。

(『ABEMA Prime』より)

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