新鋭・古賀悠聖五段、タイトル経験者のトップ棋士を次々撃破!堂々たる戦いぶりに仲間も歓喜「ほー!」「元気いっぱい!」/将棋・ABEMA地域対抗戦
【映像】古賀悠聖五段の活躍ぶりに控室も大盛り上がり

 若き九州男児が、将棋界を代表する棋士を次々に撃破する快挙だ。日本全国を8つのブロックに分けた団体戦で行われる「ABEMA地域対抗戦 inspired by 羽生善治」予選Bリーグ1回戦・第2試合、関東B 対 九州が2月10日に放送された。九州の1人目として出場した古賀悠聖五段(23)は第1局でタイトル31期の渡辺明九段(39)、続く第2局で同5期の永瀬拓矢九段(31)と、超トップクラスにいるタイトル経験者を連破。チームにこれ以上ない風を吹かせた戦いぶりに、仲間からは「ほー!」「元気いっぱい!」と歓声が起こった。

【映像】古賀悠聖五段の活躍ぶりに控室も大盛り上がり

 古賀五段は2020年10月に四段昇段しプロデビュー。今年度から参戦している順位戦C級1組も、あと1勝すれば“1期抜け”を果たすという若手有望株の一人だ。中田功八段門下で、兄弟子の佐藤天彦九段(36)とともに出場棋士に登録されると、監督・深浦康市九段(51)から大事な初戦を託された。

 緊張の第1局だったが、相手はまさかの関東B監督・渡辺九段。お互い想定外の相手だったが、練習将棋で1局だけ指したという対戦経験の少なさは、古賀五段に味方した。古賀五段の先手番から横歩取りで始まると、落ち着いた序盤戦に。途中、渡辺九段が飛車を2筋に展開してひねり飛車模様にした後も、お互い囲いの形を少しずつ変えながら、より強固にして後の激戦に備えた。

 中盤、激しく駒がぶつかり合った後、先に抜け出しかけたのは渡辺九段。それでもお互いの玉が危険な状態で、少しのミスで形勢がひっくり返りそうな緊迫の場面を迎えると異終盤に飛車を取りつつ馬で王手をかけた111手目の▲6四馬あたりから形勢が逆転。相手の攻め駒を排除しつつ、より深く渡辺に斬り込んだことで、そのまま力強く競り勝った。

 永世竜王、永世棋王と2つの永世称号を持つ超一流を倒した勢いと自信はすさまじい。続いて対戦したのは、藤井聡太竜王・名人(王位、叡王、王座、棋王、王将、棋聖、21)がタイトルを独占するまで、タイトルを持っていた唯一の棋士・永瀬九段。将棋のことならなんでも知っていると思わせるぐらいの豊富な研究量を誇る相手に対して、古賀五段は後手番から得意の雁木で挑んだ。するといきなり序盤にチャンス。一瞬の隙をついて△8七歩と打ち込んだことでペースを握ると、相手の控室では渡辺九段が「ひょえー。これはうっかりしましたね」。仲間が集う控室では佐々木大地七段(28)が「おおー!元気いっぱい!」、深浦九段も「ほー!」と声をあげた。千載一遇のチャンスをリードに結びつけた古賀五段は、劣勢を承知で粘りまくる永瀬九段をなんとか振り切り、140手の末に2連勝。強豪2人合わせてタイトル36期という分厚い壁を貫き、九州の先輩たちに最高の流れでバトンタッチした。

 試合は関東Bの森内俊之九段(53)、伊藤匠七段(21)の反撃にあいフルセットまでもつれ込んだが、佐藤九段が踏ん張って決定局に勝利。九州が1回戦を勝ち上がるという番狂わせを演じた。試合後、古賀五段は「深浦監督が先発ということで、最初に出させてもらえたので、一番プレッシャーが少ない状態で出られたのはうれしかった。気持ちはかなり楽でした」と、当たって砕けろの精神で臨めたとコメント。深浦監督の起用に応えての大活躍は、単なる2勝以上の効果をもたらしていた。

◆ABEMA地域対抗戦 inspired by 羽生善治 全国を8ブロックに分けた「地域チーム」によって競う団体戦。試合には監督とチームから選ばれた出場登録棋士の4人の計5人が参加可能。試合は5本先取の九番勝負で行われ、対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールール。試合は1試合以上出場する「先発棋士」と、チームが3敗してから途中交代できる「控え棋士」に分かれ、勝った棋士は次局にも出場する。先発棋士は1人目から順に3人目まで出場し、また1人目に戻る。途中交代し試合を離れた棋士の再出場は不可。大会は2つの予選リーグに4チームずつ分かれ、変則トーナメントで2勝すると本戦進出。ベスト4となる本戦は通常のトーナメント戦。
(ABEMA/将棋チャンネルより)

【映像】激戦を制し深浦康市九段は「理想的な勝ち方だった」とニッコリ
【映像】激戦を制し深浦康市九段は「理想的な勝ち方だった」とニッコリ
【映像】古賀悠聖五段の活躍ぶりに控室も大盛り上がり
【映像】古賀悠聖五段の活躍ぶりに控室も大盛り上がり
【映像】古賀悠聖五段の活躍ぶりに控室も大盛り上がり