たった1枚の写真からAIによって「ダンス動画」ができ上がる。AI技術を駆使したサービスを数多く手がけているAI Picasso株式会社が今年1月から提供を開始したアプリ「AIピカソ」が話題だ。
「AI ピカソ」はAIにダンス動画と骨格などの情報を大量に学習させ、動きの元となる入力データを作成。1枚の写真を入力するだけで、踊りだけではなく手先や表情といった細かい部分にも動きがあるダンス動画の生成を実現させた。
そのクオリティの高さは“ダンス動画”のモデルとなった徳永有美キャスターが「自分のキャラクターでは絶対に選択しない格好で、絶対にやらないダンスを踊った姿を見た瞬間、『こんな自分に会えるんだ!』と本当に嬉しくなった」と感想を口にしたほどだ。
ダンス動画の生みの親であるAI Picasso株式会社の冨平準喜代表は「今までのAI技術は激しい動きや3秒以上の動画が作れないという技術的なハードルがあった。しかし私たちはアルゴリズムを作ることで課題を超えた。世界的な企業に先んじて結果を出した正に“涙の結晶”だ」と述べた。
学生時代からAIに関する研究を行っていた冨平代表。2018年にはものづくり日本大賞・内閣総理大臣賞受賞を受賞した。そして2022年、筑波大学のAI研究室のメンバーらとAI Picasso株式会社を設立。
冨平代表はAIの今後について「2024年は動画生成AIが飛躍する年になるだろう。例えば、テレビドラマのワンシーン全てをAIが生成するなど、実用的なフェーズに入ってくる」と予想した。
日進月歩の生成AI領域における日本のポジショニングについて冨平代表は「実は日本は法律面で優遇されている。なぜなら著作者が不利益を被らなければ著作物をAIの学習に使っていいからだ。今後も優遇が続くのか、あるいは縛っていくか、国をはじめとした議論をしているが、その結果次第で今後の日本のポジショニングも変わってくる可能性がある」と述べた。
熾烈な競争が繰り広げられる中、アニメやマンガといった日本が世界に誇る文化を上手く取り入れていくことが世界とのAI競争で生き残るカギになると話す冨平代表。
こうした中、日本の課題については「海外では国からAI推進のために補助金がついたり、大企業が応援してくれる環境もある。日本はその点において不十分であり、大企業自体がAIをまだ受け入れられていない傾向にある」と指摘した。
さらに冨平代表は自社の強みと今後について「アルゴリズムの領域で世界に挑戦していきたい。もちろん、世界中のAI研究者が切磋琢磨している一番競争が激しい領域だが、AIの技術者・エンジニアとして戦っていきたい」と述べた。
AI Picassoの取り組みについて、一般社団法人Generative AI Japanの理事に就任した琉球大学工学部教授の玉城絵美氏は「AI Picassoのような企業、そしてAI人材をもっと増やしていく必要がある。一方で、AI産業を広めていくにあたって法整備の面などの課題は残っているため、規制を緩和しつつ協会・企業がガイドラインを提言しながら安全に使っていくべきだ」と指摘した。
(『ABEMAヒルズ』より)
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