【写真・画像】政治家の常套句“記憶にない”は本当? 舛添元知事「“記憶にない”と発言した記憶がなかった」元官僚「忘れたと言えば事実を認めたことになる」 実態と答弁で使う真意 1枚目
【映像】ロッキード事件で「記憶がない」誕生の瞬間(実際の様子)
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 13日、衆議院予算委員会で旧統一教会側と盛山文部科学大臣の過去の接点が追及された。話題はハグをしたのか否か。

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 立憲民主党の山岸一生衆議院議員が「統一教会の関係の方とハグをしたのは事実か」と質問すると、盛山氏は「私どもの年代でハグをするのは、まず普通はありえない。私としては全く記憶にないし、そういうことをすること自体が考えられない」と答えた。

 これにXでは「都合のいい記憶力ですこと」「はいはい、そうやって逃げるのね」「出た。政治家の常套句!」などの声があがっている。政治家の常套句「記憶にございません」の起源は1976年のロッキード事件と言われている。当時、国会に召喚された国際興業の小佐野賢治社主が「記憶がない」「今、記憶がない」と答えて以降、政治家・官僚の発言で耳にするようになった。

 なぜ政治家はこの言葉を使うのか。『ABEMA Prime』では2016年に都議会で「記憶にない」と発言した舛添要一元東京都知事と、答弁案を作る側の元官僚をゲストに招き考えた。

盛山大臣「記憶ない」発言 舛添氏の見解は?

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 国際政治学者で元東京都知事の舛添要一氏は、盛山大臣の発言について「記憶がないかどうかは本人しかわからない。2時間ぐらい会食すれば忘れないが、大臣なら“写真を撮ってくれ”と言われることは山ほどあるし、誰と撮ったか一人一人覚えていないのが普通。ケース次第だ」と言及。

 実は、自身の都知事時代の発言も「番組から聞き取りを受けた時、大臣・国会議員時代も含めて“記憶にない”と発言したことは一度もないと答えたのだが、実際には証拠の映像があった」と、文字通り“記憶になかった”ことを明かした。

 舛添氏は、2016年に家族同伴で千葉のホテルに宿泊し、費用を経費と主張したことが都議会で取り上げられた。「領収書の変更手続きをしたのか?」との問いに「記憶は定かではございません」と答えている。

 当時の発言を振り返り、「領収書の処理は会計責任者が全部やっている。政治家は実際に領収書をどう貼ったか見ているわけではない。正確に言うと“知らない”と言うしかないが、そうすると“誰がやったのか”“会計責任者を引っ張り出せ”と矛先が向かってしまう」と、関係者を守る意味合いで使ったとした。また、自身の経験を踏まえ、盛山大臣の発言についても「覚えていないのは嘘ではないと思う」との見方を示した。

 一方、政治家の「記憶にない」発言全般に対しては「相手がいる場合などは、そう言って逃れるしかないケースもある。仮に、ある政治家が誰かと組んで、“特定の派閥を叩き潰してやろう”と裏で画策していた場合、いつどこで会食したかは言えるが、“何を話したのか”と聞かれれば、“記憶にない”と言うしかない」と述べた。

元官僚が明かす国会答弁の実態と本気度

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 一方、元経産官僚で政策アナリストの石川和男氏は、答弁案を書いていた側の立場から「“忘れた”と言えば関係者と会った事実を認めたことになるが、“記憶にない”と言えばそうならない」と述べ、「同じ“記憶にない”でも、逃げるための答弁と、本当に記憶にない場合の2種類ある。盛山大臣は後者だと推測するが、正直な方でよく考えたらあったかもしれないとなって、余計なことを言ってしまったのだろう」との見方を示した。

 番組では大臣が謝罪すれば良いのでは? との意見も出たが、石川氏は「大臣が謝ると事務方が困る。国会の視線がそこに集中し、法案や予算審議が進まなくなるからだ。事務方からすると、自分は何のために仕事をしているのだろうという状況になりかねない」と答え、「自分が大臣官房の事務方なら“ご指摘の件については直ちに調査をして1か月後に答えを出す”という答弁案を書く。調査といえば時間が稼げるし、証拠がなかったら“入念に調べた結果、なかった“と言える。大臣にこうした助言をする人がいないことが驚きだ」と述べた。

 これに舛添氏は「プライベートな問題の場合、役人が答弁を書く場合と書かない場合がある。ある法案が通らなくなるという時には、役人もかなり頭を使って、“この答弁なら逃げられそうだ”という案を2、3持ってくる」と付け加えた。

 このほか石川氏は、国会答弁における「検討する」の本気度について、前向きに検討する=「やる」、慎重に検討する=「やらない」、持ち帰って検討する=「検討するだけでやるとは言ってない」、対応について検討する=「対応するともしないともわからない」など具体例に言及して解説した。

政策協定に署名…それでも「全て覚えているわけではない」

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 盛山大臣と旧統一教会をめぐる動きでは、事実上の政策協定にあたる推薦証明書に署名していることも明らかになっている。

 しかし、舛添氏は「選挙をやった人しかわからないからあえて言うが…」と断ったうえで「私が都知事選に出た時、支持を受けた労働組合の連合の代表と政策協定でサインをした。これは今でも覚えている。統一教会がどうかはわからないが、何百という支持団体があるのが実態。推薦状や政策協定書だけ持ってこられたケースを全て覚えているわけではない。“先生、選挙の合間で事務所に寄った時にサインして”と溜まっている書類を一気に処理している可能性が高い」と指摘。

 「対策案をあげるなら全て電子化すべき。1つのパソコンに全部データが入っていて、暗証番号を使ってサインをすればいい。そうすれば遊説の途中、電車に乗って移動していて、選挙運動をやらないといけない時に、パッと見ることができるし、証拠が残る。紙は捨てしまったら終わりだ。みんな選挙で票を取ることに忙殺されているなかで、誰かがきちんと事務所で政策協定の中身を確認するシステムを作らないと対応できない」と述べた。

(『ABEMA Prime』より)

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