「我が国の国土が中国勢によって静かに侵食されている。問題は、肝心の外国人土地法というのが整備されていなくて、全く使い物にならない」(衆院予算委・6日)
国会で質問に立った衆議院会派「有志の会」の北神圭朗衆議院議員が訴えたのは、外国人や外国資本による国内の土地買収の規制。マンション価格の高騰や日本の安全保障に影響する可能性があるというのだ。去年2月、中国人の女性が沖縄本島に近い無人島を購入したと公表し、物議を醸した。
一方で、北海道のニセコのように、外国資本が入ったリゾート開発で多くの外国人観光客が訪れ、地域の経済が活性化している例も。規制などは必要なのか。『ABEMA Prime』で北神議員を交え議論した。
■「まず外国人による不動産取引の実態把握を」
北神議員は土地買収の懸念点について、「基本は購入したい人が買えばいいと思うが、日本国民に手が出ないぐらい高騰してしまうのは、住宅政策として規制を考えないといけない。もう1つは安全保障上の問題だ。念頭においているのは中国。国民一人ひとりは何も悪くないが、習近平が使う“軍民融合”という言葉、つまり軍隊と民間は溶け合っている。きつい言い方をするといつ何時工作員になるかわからない人たちを野放しにして、拠点を設けさせていいのかと。この2つの問題意識がある」と述べる。
2022年、重要施設周辺(約1km)や国境離島などの土地利用を規制する「重要土地利用規制法」が施行されたが、「限界がある」と指摘する。「これは取得を規制するのではなく、利用規制法だ。範囲が限定的で、あまり効果はない。重要土地等調査法があっても土地は買える」。
北神議員はまず、外国人による不動産取引の実態把握を訴えている。「マンションや住宅については、国はまったく把握していない。私も国会質問では、“中国人の爆買いによって東京23区の新築マンションが高騰している可能性がある”と丁寧に言っている。ただ、分析するにもデータがないので、それをまずやれと。山林や農地は林野庁がそれなりに把握しているが、法律に基づかない調査だ。まずそこからやって、問題がないということならそれも1つの考えだ」とする。
また、「私の言っていることは何も特殊ではない。カナダでも同じように、中国人がバンクーバーやトロントを爆買いしたために住宅価格が高騰し、2年間限定で外国人に一切売らないという法律を通している。つまり、住宅政策として取りうる措置だ」と述べた。
■「日本の国家戦略そのものを考えないといけない」
エコノミスト・東京財団政策研究所主席研究員の柯隆氏は「2つの話が混在して議論されている」と指摘する。「いわゆる土地の売買は、基本的に市場メカニズムに任せるべき。高いか安いかでいうと、ドル建てで計算すると日本は安すぎる。ロンドンやニューヨーク、上海の半額以下だ。また、長いトレンドで見ると少子高齢化が進んでいくが、今困っているのが空き家問題。それを放置して、“売ってはいけない”と感情的になっても仕方がないと思う。もう1つは、外国人の行動をどう制限するかという議論。日本は反スパイ法がないので、電話やメールなどを監視できない。日本の安全保障をそこまでやるかどうかということを根本的に考え直す必要がある」。
一方で、「特定の国を対象にして議論を進めると間違った方向にいく」とし、「日本の安全保障、あるいは水源地の資源の維持などを考えれば、きちんと法整備する必要があると思う。ただ、私が中国のスパイだったとして、日本に帰化した場合に行動を制限できるかというと、実効性は相当難しいだろう。なので、もう少しディープに国家戦略そのものを考えないといけないと思う」と述べた。
北神議員は「安全保障面では、日本はGATS(サービスの貿易に関する一般協定)に1994年に参加した。そこでは内外無差別とあるが、フランスは食料安全や水源の話を入れていて、安全保障上の懸念があれば規制できる。一方で、RCEP(地域的な包括的経済連携)協定では、日本国内における土地の取得または賃貸借を禁止、または制限できるということを中国と合意している。なので、日本政府は国として意思表明をするべきだ」との見方を示した。(『ABEMA Prime』より)
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