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【映像】激戦を振り返る両チーム

 激戦の東西対決でチームを救ったのは、21歳の新エースだった。日本全国を8つのブロックに分けた団体戦で行われる「ABEMA地域対抗戦 inspired by 羽生善治」予選Bリーグ2位決定1回戦、関東B 対 関西Bが2月24日に放送された。フルセットにもつれ込んだ激闘は、関東B・伊藤匠七段(21)が1人で全5勝を挙げる大活躍。粘る関西Bを振り切った。冷や汗ものの展開に関東Bの監督・渡辺明九段(39)も「苦しい戦いだった」と胸をなで下ろした。

【映像】激戦を振り返る両チーム

 永世竜王、永世名人などタイトル経験者が3人もいる強豪・関東Bだが、窮地を救ったのは若きエース・伊藤七段だった。第1局、増田康宏七段(26)が敗れた後の第2局に登場。関西B・古森悠太五段(28)と対戦すると、後手から三間飛車を採用した古森五段に序中盤をうまく指されたものの、穴熊の堅さを活かしながら徐々に挽回。「食らいつく展開になって勝ちやすくなった」と、ABEMAのSHOGI AIによる勝率表示以上に勝ちやすさを感じながら指すと終盤に逆転。最後はきれいに寄せ切った。

 ここからは藤井聡太竜王・名人(王位、叡王、王座、棋王、王将、棋聖、21)と棋王戦で2度目のタイトル戦を行っている実力が、さらに激しく輝いた。第3局は「藤井キラー」とも呼ばれる大橋貴洸七段(31)と相掛かり戦。力戦調の序盤から、中盤以降は伊藤七段のペースに。自玉の安定度で勝ると終盤には大差をつけ、渡辺九段からも「いやー、強いね。覚醒しているね」と絶賛の声も出た。

 勢いは止まらない。第4局は大石直嗣七段(34)と角交換型振り飛車の将棋に。大石七段がダイレクト向かい飛車から馬を作って先行しようと仕掛けてきたものの、伊藤七段は盤石の落ち着きぶり。粘り強く受け止めてから攻めのターンが回ってきたところでラッシュ。破竹の3連勝を決めた。

 第5局は古森五段に敗れリベンジを果たされたものの永瀬拓矢九段(31)、増田七段が続けて敗れたことで、またも伊藤七段に出番が回ってきた。第8局はカド番という苦しい状況。角交換型振り飛車で、後手の古森五段が得意の三間飛車を選ぶと、お互いさらに角を打ち合い、あまり見慣れない序盤戦に。古森五段が後に「やってみたい作戦だった」と明かしたが、伊藤七段は慌てることなく穴熊でしっかり囲ってから、古森をじりじりと攻略。最後は上部脱出を狙う古森玉を再び下段に追い込んで仕留めた。

 ここまで来れば、連戦の疲れなど関係ない。フルセットの第9局、関西Bのエース・斎藤慎太郎八段(30)と相掛かりでぶつかったところ、中終盤に伊藤七段が打ち込んだ△8六角が絶品。鋭さ抜群の一手でペースを掴むと、そのまま危なげなく押し切り勝利。終わってみれば、チームの5勝を全て伊藤七段が稼ぐという大車輪の活躍となった。

 試合後、監督・渡辺九段は「今日は若手のみなさんに任せようかなと。一進一退のスコアが続いて、非常に苦しい戦いでした」と振り返ると、5勝した伊藤七段だけでなく「増田君も(初戦に敗れながら)2巡目は『私が行きます』と、心意気がよかった。永瀬君も巻き返してくれると思います」と、今後の戦いに向けて後輩たちの奮起にも期待した。

 関東Bは次の2位決定戦に勝てば本戦出場が決定。覚醒した伊藤七段をどこで出してくるのか。起用法を練る監督にとってもうれしい悩みだ。

◆ABEMA地域対抗戦 inspired by 羽生善治 全国を8ブロックに分けた「地域チーム」によって競う団体戦。試合には監督とチームから選ばれた出場登録棋士の4人の計5人が参加可能。試合は5本先取の九番勝負で行われ、対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールール。試合は1試合以上出場する「先発棋士」と、チームが3敗してから途中交代できる「控え棋士」に分かれ、勝った棋士は次局にも出場する。先発棋士は1人目から順に3人目まで出場し、また1人目に戻る。途中交代し試合を離れた棋士の再出場は不可。大会は2つの予選リーグに4チームずつ分かれ、変則トーナメントで2勝すると本戦進出。ベスト4となる本戦は通常のトーナメント戦。
(ABEMA/将棋チャンネルより)

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