政治倫理審査会(政倫審)について、与野党のせめぎ合いが続いている。
1つ目の争点は「質疑時間」だ。政倫審幹事会において自民党は45分、野党は90分の質疑時間を求め、その後の協議では「少なくとも1時間以上」と大きな方向性は決まったものの具体的な時間は決まらなかった。
2つ目の争点は「政倫審の公開or非公開」だ。自民党は完全非公開、野党は完全公開を求めている。その後の協議で自民党は「議員の傍聴」を認める案を新たに提示したものの、野党は引き続き完全公開を求め合意に至らなかった。
政倫審について東京工業大学の西田亮介准教授は「政倫審はロッキード事件で田中角栄元総理に一審有罪判決が出たことをきっかけにしたもので、国民に対して説明責任を果たした体を取りつつ、議員の身分を追われるような厳しい批判を受けないことを両立する“絶妙な”ルールのもとに作られている。つまり、政倫審はそもそも茶番的であまり意味をなさない機関だ。おそらく開催されても新しい事実はそれほど明らかにならないだろう」と考えを示した。
政倫審を議員が傍聴する案について西田准教授は「そもそも政倫審は規程により『傍聴は認めない』≒『公開しない』が原則だ。とはいえ、過去にも議員の傍聴を認めた例は大半で、その際は口が軽い議員を通じて“中”の様子が明らかになった」と説明。
その上で「委員会の決議、そして当の議員の申し出によって政倫審を公開することもでき、その場合、カメラを通して議員の佇まいや質疑の様子がわかる。反対に非公開の場合は議事録の閲覧が認められないことから、公式にどんな議論が行われたのかを知ることができず、仮に議員の傍聴が認められたとしても我々には“政治記者の目を通した情報”しか届かない」と述べた。
課題ばかりが目につく政倫審だが解決策はあるのか。西田准教授は「野党、あるいは志のある与党議員も含めて世論に対して『このルールはおかしい』と訴えていくことが大事だ」と指摘した。
今後、政倫審ではなく、懲罰委員会が開催される可能性はあるのか? 西田准教授は「過去の例を見ると、懲罰委員会は秩序を乱すような暴言や国会に登院しない議員を対象にしたもので今回のケースでは当てはまらないように思えるが、懲罰動議の提出は意義のある行為かもしれない。やはり数千万円の裏金は多額であり、道議上の問題がある。また証人喚問という選択肢もある」と述べた。
(『ABEMAヒルズ』より)
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