日本一有名な昔話と言っても過言ではない「桃太郎」。その発祥地は岡山と言われているが、山梨県大月市が名乗りを上げている。『ABEMA Prime』では両者に話を聞いた。
大月には犬目、鳥沢、猿橋という、桃太郎の家来の名前が入っている地名がある。さらに、大月桃太郎連絡会事務局の箕田雅友氏は「昭和のはじめから絵本が発行され、多くに富士山が描かれている。これは大月市から仰ぐ富士山と距離関係、大きさが同じであり、発祥の地は大月であると宣言させてもらう」と主張する。
一方、岡山県・桃太郎のからくり博物館館長の住宅正人氏は反論。「皆さんご存知だと思うが、出だしは“むかしむかしあるところに”だし、話の中に富士山は出てこない。おさまりがいいから描いただけだろう。それに惑わされないようにしていただきたい」と述べる。
しかし、岡山説に根拠はないという見方もある。桃太郎の由来については諸説存在し、戦前までは愛知県や香川県を由来とする説が有力だったが、昭和37年に岡山で開かれた国体で県をあげて何か推すものはないかと考え、『桃太郎』を使用したところ岡山説が広がったという。
住宅氏は「“桃太郎がここで生まれた”“ここで鬼退治をした”と岡山は一切言っていない。日本書紀や古事記に出てくるような人物が岡山で鬼退治をしたという伝説が1000年以上あって、それを昭和になって桃太郎と言い出しただけだ。長く鬼退治の伝承は岡山にあり、県民にとっては“桃太郎っぽい”で十分だ」「平成30年に文化庁から日本遺産に認定された。桃太郎伝説が生まれた街・岡山ということで、もう後には下がれない」と述べる。
大月市は桃太郎神社を設けたり、駅前に桃太郎のモニュメントを設置するなどし、これらが地域おこしに繋がっているという。箕田氏は「神社は、市内の有名な彫刻家の方にほこらを担ぐ赤い鬼を作っていただき、かなり評判を呼んでいる」と説明。また、「地名のゆかりがあるので、そのあたりを有利な条件とさせていただきたい」と改めて訴える。
これに住宅氏は「岡山には27カ所、古代遺跡や神社がある。地名だけでもいいが、ちょっと説得力が弱い。(大月も主張するなら)モノが欲しい」と返した。
なお、縁のある市町や団体、全国のモモタリアン(桃太郎好き)などが参加する「桃太郎サミット」がこれまでに19回開催され、各地元の伝承に関する講演などを通して交流を深めている。開催地は岡山や大月、奈良、愛知などで、次回は2025年に香川・高松で開催予定だ。住宅氏は「実は大月には何度も行っていて、盛り上げあっている」と明かした。
(『ABEMA Prime』より)
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