「今月分の給料、借金の返済で飛んだ。生活するにはまた借りるしかない」「カードは全部限度額まで使ってしまった。新たに申請しても通らない。どうすれば」など、Xにあがる借金苦に陥っている人の声。
現役大学生で、お笑いコンビ「神のまにまに」として大阪で活動する嘉津翔太さん。「僕が親の借金に悩まされている嘉津といいまして。400と0だけでも覚えて帰ってくださいね」「これ、親に“消費者金融で借りてくれ”と言われた額です」と、ネタにして笑いに変えようとしているが、実際は笑えない状況。親の借金額は「合計で1000万円ぐらい」と明かす。
親が払えなくなった借金は子どもが背負わなくてはいけないのか、『ABEMA Prime』では嘉津さんの話を聞き、専門家とともに考えた。
■父親の借金“1000万円”の連帯保証人に
親の借金を背負うことになった経緯について、嘉津さんは「父親がブラックリストに入っていて、自分の名義では借りられない。けどお金が必要となったとき、 知人に“お金を借りてくれないか”と。その返済が滞ったのが1、2年続いたところで、“どうなってんねん”と知人が家に来た。“お父さんじゃ埒があかないから、息子さん悪いけど連帯保証人に”と言われた」と説明。
連帯保証人とは債務者と同様の返済義務を負うこと。嘉津さんは知人ではなく、父親の連帯保証人だという。
「サインする時、父親が“本当にごめんなさい”とめちゃめちゃ頭を下げていた。親の謝るところなんかあまり見たくない。そこで情が湧いてしまって、“大丈夫だから、するから”とサインしてしまった」
父親は現在50代で、元大手電力会社社員。借金がある理由は、後輩が起業した際の借金の連帯保証人になったことだという。消費者金融などで繰り返し借金をし、借りては返す自転車操業の多重債務者に。電力会社を早期退職する際に退職金をもらうも、FXで溶かしてしまった。
嘉津さんは「大手で働いていたので借金の限度額が高く、バンバン借りていたら回らなくなったと。なんで借金があるんだろう?と謎だった。年収もある程度分かっていたので“もうちょっと豪勢な生活ができないの?”と聞いたら、“いろいろあるやん”とはぐらかされた」と振り返る。
現在、返済や父親との関係はどうなのか。「父親と別居していて、離れたところに住んでいる。父親の返済が月々の額に足りない場合だけ、僕が補填するというかたちだ」と答えた。
■司法書士「親の借金を子どもが払う必要はない」
グリーン司法書士法人代表の山田愼一氏は、嘉津さんについて「親の借金を子どもが払う必要はない。ただ、連帯保証人になってしまったら、父親が払えなければ嘉津さんが払わないといけない。たぶん金利もついていて、芸人で成功して一気に返すとかじゃないと、お勤めの方が返していける額ではないと思う」と指摘。
山田氏が過去に相談を受けた中には、子どもが5000万円を返済する羽目になったり、祖父→父親→自分と代々負債を相続、親子で相談に来て大ゲンカになるケースがあったという。「親の借金を払う必要がないことも法的にあるので、それをお伝えすると安堵して帰られるケースが多い」と述べた。
全ての債務(借金)をゼロにする“自己破産”という選択もある。裁判所に破産申立書を提出し、免責許可をもらう。借金がなくなるメリットの一方、家や車などの財産を没収され、一定期間は借金が出来なくなるデメリットがある。また、原因がギャンブルや浪費の場合は許可されない場合もあるという。嘉津さんの父親はそれなりの収入があったため、申請を2度断られたということだ。
山田氏は「お父さんが弁護士や司法書士へ相談に行ったものの、断られたのかなと思う。ただ、うちがいろいろな申請をして、裁判所で認められなかった例はない。自己破産ができない事情は法律に書いてあるが、裁判所の裁量免責で認めてもらえることもある。株やFX、ギャンブルが理由でも実はできる」とする。
その上で、嘉津さん親子に「現時点だと自己破産を勧める」とし、「デメリットはブラックリストに載ることと、財産を没収されること。国が発行する官報にも載るが、これはそんなに大したことはないだろう。ただ、知人の方に対する債務破産なので、金融会社などに比べると、人間関係が一番大変なところだ」との見方を示した。
(『ABEMA Prime』より)
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