将棋の第49期棋王戦コナミグループ杯五番勝負第4局が3月17日、栃木県日光市の「日光きぬ川スパホテル三日月」で行われ、挑戦者の伊藤匠七段（21）がタイトルホルダーの藤井聡太棋王（竜王、名人、王位、叡王、王座、王将、棋聖、21）に114手で敗れた。この結果、伊藤七段はシリーズ成績0勝3敗1持将棋で敗退。前期の竜王戦七番勝負に続き、“同学年対決”で藤井棋王からタイトル奪取とはならなかった。
2度目のタイトル挑戦で再び藤井棋王に挑んだ伊藤七段だったが、その壁は高く分厚いものだった。決着局となった第4局は、後手の藤井棋王が角換わりを拒否し相掛かり調の力戦に。難解な中盤戦では両者が長考を重ねて、繊細な神経戦が繰り広げられた。戦いが始まり、先に抜け出したのは藤井棋王。鋭く先手陣に斬り込むと、一気にリードを拡大した。伊藤七段も渾身の粘りを見せたが、形勢を押し戻すことはできず。藤井棋王に冷静に寄せ切られ、114手で投了を告げた。
終局後、伊藤七段は「あまり考えたことのない展開で、一歩得になってからの展開は一手一手手探りだった。かなり陣形差がある将棋で、まとめるのに苦心した。その中で中盤でバランスを崩してしまったのかなと思う」とコメント。2度目の挑戦となった本シリーズについて、「中盤でバランスを崩してしまう展開が多かった。そこは前回の竜王戦からの課題だったが、なかなか修正できなかった」と振り返り、悔しい表情を見せた。
五番勝負敗退で区切りを迎え、「かなり多くの経験をさせてもらったが、力不足を痛感する一年だった」と振り返った伊藤七段。しかし、3月19日には叡王戦挑戦者決定戦の永瀬拓矢九段（31）戦を控えている。三度目のタイトル挑戦を目指し、その瞳は次なる戦いへと向けられていた。
（ABEMA／将棋チャンネルより）
