卒業式や入学式のシーズン。その一瞬をカメラに収めるのがスクールフォトカメラマンだ。SNSを使っての人員募集を非難する声も上がっているが、その裏側にはスクールフォト業界の問題点があるようだ。
「カメラマン大大大募集です。現在3名しか決まっておらず、あと100名くらい来ても大丈夫です。小・中学校入学式の写真撮影案件」(Xに投稿された文面、現在は削除)
スクールフォトカメラマンを募集する何気ない投稿。ところが「何かあったら責任とれるんですか?」「よりによってXでの募集なんて子を持つ親として怖いしかない」と批判が相次ぎ、大炎上した。
そんななか、スクールフォト業界の現状がこの騒動を巻き起こしていると声を上げる人がいる。
「フリーランスの募集は年中かかっている。主に卒業式、入学式、運動会がどうしても人が足りない、集まらないという状況が続いている」
こう語るのは、過去にスクールフォトをメインに活動していたフリーカメラマンの田中さん(仮名)。いま、スクールフォトカメラマンは人材不足に陥っていており、その原因は労働環境にあるという。
「修学旅行の引率の仕事がある。朝7時にスタートして、昼休憩なしで夜11時まで拘束される。単純計算で15時間。1泊2日の場合もあれば4泊5日の場合もある」(田中さん、以下同)
修学旅行や遠足などで重たい機材を抱えたまま長時間の撮影や運動会や卒業式など、「もう一度」が許されない撮影の連続で肉体的にも精神的にも負担が大きいようだ。さらに、田中さんが問題視しているのが報酬の厳しさについて。
「ギャランティー設定が1日当たり1万3000円。それはもちろん機材費(も含まれる)。自分でパソコンも機材も買わないといけず、どれだけ(拘束時間が)長くても1日1万3000円。夏休み、春休み、冬休みと閑散期を除けば8~9カ月しか働けないとなると、年間の収入は減る。カメラが高騰しているので出費も多い」
学校が長期休みに入るとスクールフォトの活動は無い。その分、他業種のカメラマンよりも収入は低くなってしまうそうだ。さらに、機材や資材が高騰しているのにもかかわらず、写真の販売価格は上がらず、カメラマンの手取り収入にしわ寄せされているという。
「ギャランティーは上がらないのと、カメラ、パソコン類は自分持ちであることから考えると、売れているスクールフォトカメラマンでも(生活していくのに)精一杯」
過酷な労働環境と低賃金で働くスクールフォトカメラマン。田中さんはこの状況にメスを入れなければ悪化していくと考えている。
「外注するカメラマンや雇っている社員の給料がきちんと上がっていくような構造、利益を得られる構造を作っていかないと、スクールフォト業界は維持できないと思っている。考え直すなら今だ」
(『ABEMAヒルズ』より)
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