まさかの幕切れに、作戦会議室のメンバーが騒然となった。日本全国を8つのブロックに分けた団体戦で行われる「ABEMA地域対抗戦 inspired by 羽生善治」予選Bリーグ2位決定戦、関東B 対 九州が3月23日に放送された。関東Bの4勝2敗で迎えた第7局には、3連勝中で波に乗る増田康宏八段(26)が出場。しかし、快調にリードを拡大させた終盤戦でまさかの“二歩”。エースの反則負けに、控室には「あああ~!?」の声が響き渡った。
持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールには、数々の“魔物”が潜んでいる。同ルールで争われるABEMAトーナメントの過去の大会でも、二歩、王手放置、持ち時間が切れる「切れ負け」が発生。トッププロたちをもってしても、対局者にかかるプレッシャーがどれほど大きいものかを物語っている。
これまでに3連勝でチームに貢献していた増田八段は、勢いそのままに第7局に出陣。チーム勝利を決めるべく、九州の佐藤天彦九段(36)との対戦に向かった。佐藤九段の先手で四間飛車の出だしとなると、急戦から増田七段が抜け出すことに成功した。じりじりとリードを広げる中、佐藤九段は攻撃の要となっていた▲7三角成を着手。優位に立っていた増田八段は、特に慌てる様子もなく8三の地点に歩を打ち付けた。しかし、同筋にはすでに△8八歩が配置されているため、△8三歩は二歩の反則!この瞬間に、佐藤九段の勝利となった。
このまさかの出来事に、関東B控室の渡辺明監督(39)は「二歩だよ!」。森内俊之九段(53)、永瀬拓矢九段(31)は揃って「あああ~!?」と大声を上げると、伊藤匠七段(21)も後頭部に両手を当てて大きく体をのけぞらせるなど、騒然となっていた。当の増田八段も天を仰いだ後、ガックリ。終局後のインタビューでは「あの筋はうっかりするんですよね。あの瞬間迷ってしまって、銀引きもあったし飛車走りもあるし…。歩が一番よく見えたのでで打っちゃったんですけど、良くなかったですね」と肩を落とした。
このまさかの幕切れにファンからもコメントが殺到。「ああああああ」「なんやとー」「にふ!?」「やっちまった」「まさかのww」「打っちゃった打っちゃったよ」「なんてこった」「それにしてもすぐ気づくもんだね」「声出てしまった」「痛恨のミス」「なんか見えちゃったんやな」と大きな反響を呼んでいた。
◆ABEMA地域対抗戦 inspired by 羽生善治 全国を8ブロックに分けた「地域チーム」によって競う団体戦。試合には監督とチームから選ばれた出場登録棋士の4人の計5人が参加可能。試合は5本先取の九番勝負で行われ、対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールール。試合は1試合以上出場する「先発棋士」と、チームが3敗してから途中交代できる「控え棋士」に分かれ、勝った棋士は次局にも出場する。先発棋士は1人目から順に3人目まで出場し、また1人目に戻る。途中交代し試合を離れた棋士の再出場は不可。大会は2つの予選リーグに4チームずつ分かれ、変則トーナメントで2勝すると本戦進出。ベスト4となる本戦は通常のトーナメント戦。
(ABEMA/将棋チャンネルより)